2008年6月20日(金)「しんぶん赤旗」
新銀行東京
非情な貸しはがし
社長怒る 返金滞るとすぐ訴訟
「中小企業を支援する」のふれこみで石原慎太郎都政が設立した新銀行東京(新宿区、津島隆一代表執行役=元東京都港湾局長)。うたい文句とはうらはらに、返済意欲のある業者に対する貸しはがしが相次ぎ、「なにが中小企業支援だ。石原銀行は非情すぎる」との声が起きています。
「都民の税金でつくった銀行から被告にされ、法廷に呼びだされてつるしあげられた。ひどすぎる」
新銀行に怒りの声をぶつけるのは、東京区部で製造業を営んでいる中小企業社長Aさん(67)。
Aさんは、新銀行を含め、大手銀行、信用金庫など六行から約一億五千万円の融資を受け、返済中です。
新銀行が開業した二〇〇五年春に、知人の紹介で二千万円の無担保無保証融資を受け、順調に返済。同行にすすめられ〇六年三月に三千七百万円の融資を受けました。金利は年6%強で、他行の一・五倍から二・六倍と高利でした。
ところが、昨年春、取引先企業が倒産し一千数百万円が回収不能となったため、返済条件の緩和を要請。五行はそろって条件変更を了承したのに対し、新銀行はかたくなに要請を拒みました。
Aさんは新銀行の支店長に相談したものの断られ、担当者もころころ変わり、その支店は閉鎖。無担保無保証融資だったのに「担保を差し出せ」と迫られ、Aさんは今春、東京地裁から出頭を求める呼び出しを受けました。訴状は、被告Aは貸付残金二千六百万円余と返済まで年14%の金利を支払え―と求めています。
Aさんはいいます。
「返済が滞ったからといって、すぐ裁判にかけるというのは異常だ。三十年以上営業してきたが、こんなことは初めて。新銀行の行員から『各行に頼みに回る時は、議員を連れて行った方がいい』といわれた。私は議員には頼らず、一人で回りました。他行に相談したら、『新銀行のやり方はおかしい。こんな銀行に借りずに、うちに来ればよかったのに』といわれた。新銀行のいいなりになったら、会社はつぶれてしまう」