2008年6月19日(木)「しんぶん赤旗」

「決断の時」と首相

消費税増税

攻防激化


 「(消費税増税をめぐり)決断しないといけない。大事な時期だ」。福田康夫首相は十七日のインタビューでこう語りました。今秋からの本格的な税制「抜本改革」議論を経て、二〇〇九年度からの消費税増税に向け、福田首相や財界が執念をみせています。


 首相発言に先立つ三日、財政制度等審議会の西室泰三会長(前日本経団連評議員会議長)が、消費税増税の実現を「今度の予算審議でやる」と表明しました。今度の予算審議とは、〇九年度予算案の審議のこと。来年の通常国会で消費税増税法案を成立させたいという意思表示でした。

 政府は、〇九年度から基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることを表明しています。さらに、福田首相は「〇九年度からの道路特定財源の一般財源化」を言明しています。

 政府・与党幹部らの発言からは、参院で野党が多数をもつ状況のもとで、こうしたテーマを入り口に税制「抜本改革」=消費税増税議論に民主党を巻き込みたいという強い思惑が透けて見えます。

 一方、「衆院で与党が三分の二あるうちに」(日本経団連関係者)という消費税増税の“強行突破”論もあります。

 日本経団連は「希望の国、日本」(御手洗ビジョン)の中ですでに、「〇九年度の基礎年金の国庫負担割合の引き上げなどを勘案し、消費税率を2%引き上げる」ことを表明しています。

 「税制の抜本改革に不退転の決意で取り組む」。自民党財政改革研究会は十一日、こう提言しました。〇九年度からの消費税増税への強い執着の表れです。

 消費税導入後、社会保障は改悪され続けてきました。生活必需品価格の高騰が家計を襲っています。庶民の暮らしが深刻な事態を迎えているもとで、消費税増税に頼らない社会保障充実や財政再建の道こそ求められています。

 消費税増税をめぐり、福田首相が「国民世論がどう反応するか一生懸命考えている」(十七日のインタビュー)というように、増税勢力と反対世論の攻防となっています。

図

政府・与党の語録

○「日本は世界有数の高齢化社会だ。その国が(消費税)5%でやっている。だからこれだけ財政赤字を背負っている。その辺のところを決断しないといけない。大事な時期だ」(福田康夫首相、6月17日、インタビューに答えて)

○「今年議論をするから(消費税を含む税体系の抜本的な改革を)早期に実現を図るという書き方をしている。すでに諮問会議ではそれに向けての議論を開始した」(大田弘子経済財政担当相、6月17日の記者会見)

○「歳出削減は徹底してやっていかなければいけないし、ムダの排除は徹底してやっていかなければいけない。それだけで、高齢社会の費用がまかなえるかというと、それはそうはなかなかいかない。消費税論議はもう避けて通れない時期にきているのではないか」(北側一雄公明党幹事長、6月18日の記者会見)

○「(消費税を含む抜本的税制改革を)早期(に実現する)というのは、今度の予算審議の中でやるべきだというつもりで、早期と書いた」(西室泰三財政審会長、6月3日の記者会見)



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