2008年6月18日(水)「しんぶん赤旗」
生活保護通院移送費
削減通知の完全撤回を
全国会議など 8団体が声明
生活保護問題対策全国会議など八団体は、生活保護利用者の通院のための交通費(移送費)の削減にかんして出された課長通知(十日付)について声明を発表しました。
生活保護では医療費は医療扶助で支給され、移送費は必要な実費が支給されてきました。ところが厚労省は四月一日付の通知で、通院移送費の使える範囲を、(1)緊急時などに狭める(2)受診できる医療機関を福祉事務所管内にするとの通知をだしました。このため「受診抑制を招き、命にかかわりかねない」と批判がでていました。今回の通知は、この四月の局長通知の内容を周知・徹底するためだとして出されたものです。
八団体の声明は、舛添要一厚労相が今回の通知について記者会見で「(局長)通知の撤回と同じ効果をもつ」と表明したことについて、生活保護利用者や多くの団体の反対運動の成果であるとのべています。
しかし、今回の通知には局長通知を撤回するとは一言も書いていないこと、「原則不支給。例外的に支給」という局長通知の枠組みをなんら変えていない、としています。
支給対象の範囲について今回の通知では、やむを得ない場合については福祉事務所の管外であっても受診が認められるとしています。これに対し声明は、これでも限定列挙であり、受診抑制につながるとともに、移送費の支給が認められるか否かは明確になっていないと指摘。全国どこでも「高額」な場合は支給するとしていることについても、「高額」の判断を自治体にまかせており、「高額」設定を強要するものになっているとしています。声明では、こうしたもとで引き続き局長通知の撤回を求めて取り組みを強めるとしています。
八団体は、同全国会議と中央社会保障推進協議会、全国公的扶助研究会、全日本民医連、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい、特定非営利活動法人DPI日本会議、全国生活と健康を守る会連合会、全国クレジット・サラ金問題対策協議会。
自治労連が談話
自治労連は生活保護利用者の通院交通費(移送費)について厚労省がだした通知(十日付)に対する野村幸裕書記長の談話を発表しました。
通院移送費の削減・打ち切りに反対し、福祉事務所の実態を示して厚労省と交渉してきた経緯を紹介し、今回の通知を出さざるをえなくなったことは共同の運動の成果であり、一定の評価ができるとしています。
そのうえで、引き続き局長通知が完全に撤回されるまで運動を続けると表明しています。
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