2008年6月11日(水)「しんぶん赤旗」
温暖化対策を妨害
福田ビジョンに化石賞
【ボン=岡崎衆史】福田首相が九日に発表した地球温暖化対策(福田ビジョン)に対し、ドイツ・ボンで開催中の国連気候変動枠組み条約の第二回作業部会に集まった世界の非政府組織(NGO)から同日、厳しい批判が相次ぎました。
また同日、気候行動ネットワーク(CAN)が作業部会会議前半で最も温暖化防止交渉を妨害した国に贈る「化石賞」に一位のカナダに次いで日本が二位に選出されました。CANは、授賞理由に福田首相が「中期目標を発表する重要な機会を逃したこと」を挙げました。
世界自然保護基金(WWF)のキャスリン・グットマン気候政策調整者は、「福田ビジョンは求められている緊急の行動に関しても、日本が世界に持つ責任という点でも要件を満たしていない」と指摘しました。
米国の「憂慮する科学者同盟」のオールデン・メイヤー戦略政策局長は、日本が「EUと同レベル」と主張していることに「一九九〇年比では8%削減にしかならない」と指摘、二〇二〇年までに九〇年比20―30%の削減を掲げるEUとは「比較にはならない」と批判しました。CAN東南アジアのガーミット・シンさんは、福田ビジョンには、途上国への技術移転や資金援助について具体的方策が明示されていないとして、「先進国としての責任を忘れてはならない」と警告しました。
■関連キーワード