2008年6月10日(火)「しんぶん赤旗」
温室ガス削減
中期目標先送り
首相、消極試算示す
福田康夫首相は九日夜、都内で記者会見し、地球温暖化対策に関する日本の基本方針を示しました。明示を求められている温室効果ガス排出量削減の中期目標では、産業別・部門別に削減可能な数値を出す「セクター別アプローチ」に基づき、二〇二〇年までに〇五年比で14%削減が可能との試算を示すにとどまりました。経産省の試算によれば、これは一九九〇年比で4%減だとされます。京都議定書で義務付けられた一二年までの九〇年比6%削減目標さえ達成できないことになります。
昨年末にインドネシアで気候変動枠組み条約第十三回締約国会議(COP13)と同時に開かれた京都議定書第三回締約国会合では、先進国全体が二〇年までに25―40%の幅で削減すべきだとの認識が、日本も含めて確認されています。
首相は、中期目標を「来年のしかるべき時期に発表したい」と発言。一三年以降の温暖化対策の新たな国際協定を来年末までに作成することが国際的に確認されており、この交渉のぎりぎりまで目標決定を先送りする姿勢を示したものです。
福田氏は、五〇年に世界全体の二酸化炭素(CO2)を半減させるための日本の長期目標として、「現状から60―80%の削減」をめざすと初めて表明。「一、二年のうちに確実に(排出量を)ピークアウト(増加から減少に転じ)させ、京都議定書の目標を確実に達成する」と述べました。
日本の排出量は〇六年には6・2%増(九〇年比)。一、二年で減少に転換させるには抜本的な政策転換が不可欠です。福田氏は、排出量取引や環境税に言及したものの、確実な目標達成の裏付けは示しませんでした。
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