2008年6月8日(日)「しんぶん赤旗」
貧困再生産なくそう
札幌 生存権を考えるシンポ
「母子家庭の現状や生活保護を考え、貧困をなくそう」と「生存権を考えるシンポジウム」が六日、札幌市の北海道大学で開かれました。生活保護問題対策全国会議(代表幹事・尾藤廣喜弁護士)と生存権裁判を支援する北海道の会(代表・青木紀北大大学院教授)がよびかけました。
貧困と格差が広がり餓死者や自殺者まで相次いでいる実態から、生存権とは何かを考えようと約二百人が集まりました。
北大の岩田美香准教授は、母子世帯の全国調査を紹介し、「貧困が世代的に再生産されている。子育ての責任を家族だけに押しつける限界が見える」と報告しました。
「生存権裁判は原告の命がけのたたかいで勝率五割以上」と切り出したのは、花園大学の吉永純教授。「生活保護基準は他の制度の基準にもなり、たたかいの意義は大きい」とのべました。
反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士は「多重債務は、社会保障の不備を高利貸しが『補完』していたもの。業者をたたくだけでなく、貧困を解決することが必要です」と指摘しました。
母子加算削減・廃止の撤回を求める北海道生存権裁判原告は「子どもに悲しい思いをさせたくない」とこもごも訴えました。内田信也弁護団長が憲法二五条、子どもの権利条約の順守を求める裁判の意義を報告しました。
会場からは「北海道・滝川市の生活保護費不正支給問題を口実に、通院費支給の改悪が指示された。撤回させるよう住民の立場で頑張る」(東京都のケースワーカー)との発言が相次ぎました。
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