2008年6月6日(金)「しんぶん赤旗」
反戦米兵に滞在許可を
カナダ下院が決議
難民申請却下受け政府に
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【ワシントン=鎌塚由美】オタワからの報道によると、カナダ議会下院は三日、戦争を拒否してカナダに逃れている米兵に滞在許可を与えるよう、政府に求める決議を可決しました。
これは、米インディアナ州の州兵コリー・グラス氏(25)らの難民申請をカナダのハーパー保守党政権が却下したことを受けたものです。
決議は、グラス氏ら六人をカナダ国内に滞在させるよう要求。これらの米兵は「国連の承認のない戦争」を拒否する「良心的兵役拒否者」であり、家族とともにカナダへの永住権を認めるよう検討を求めています。決議は自由党など三野党の賛成多数で可決。ただ政府を拘束するものではありません。
グラス氏はイラク戦争に従軍後、戦争は「違法で人道に反する」として、二〇〇六年にカナダに逃れて難民認定を申請。ブッシュ米政権寄りのハーパー政権はそれを却下し、六月十二日までに国外退去するよう迫っています。
カナダには現在、従軍を拒否している米兵が「二百人以上いると推定」(米ロサンゼルス・タイムズ紙)されます。ベトナム戦争時には、五万―八万人の米国の若者が兵役を拒否し移住。当時のトルドー首相は、カナダは「軍国主義からの避難所」だとして受け入れました。
決議に賛成した自由党のボブ・レイ議員は「カナダは平和と自由を求める人々を常に歓迎してきた」、「そうあり続けることを望む」と米紙に語っています。
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