2008年6月6日(金)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療
廃止法案を参院委可決
世論と野党共同の力 結実
日本共産党、民主党、社民党、国民新党の野党四党が提出した後期高齢者医療制度廃止法案が五日の参院厚生労働委員会で、全会一致で可決されました。自民、公明両党は採決を欠席しました。廃止法案は六日の参院本会議で可決され、衆院に送付される見込みです。
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廃止法案の可決は、七十五歳以上に医療差別を持ちこむ世界に類のない制度への国民の怒りと野党が多数を占める参院の力が結実した結果です。
採決に先立つ参考人質疑では、各参考人が同制度の廃止の意義を強調。後期高齢者医療制度への移行にともなう保険料の変化について厚生労働省が四日に発表した全国調査の不備が次々と指摘されました。日本共産党からは井上哲士議員が質問に立ちました。
一方、自民、公明の両党は同日午前、「強権的な運営を行った」として、岩本司厚生労働委員長(民主党)の不信任動議を提出しましたが、野党の反対多数で否決され、その後の参考人質疑、委員会質疑をすべて欠席する審議拒否の態度をとりました。
採決後、傍聴者らは参院議員面会所に集まり、日本共産党の小池晃、井上両議員があいさつ。小池議員は「廃止法案の可決は、国民の怒りと運動の大きな後押しの結果だ」として、「与党が多数をしめる衆院でも、参院の意思と国民の怒りを踏みにじることは許さないという、大きなたたかいをさらに進めてがんばりましょう」と呼びかけました。
制度廃止運動を連日繰り広げた全日本年金者組合の篠塚多助委員長は、「野党四党が力を合わせて、私たちの立場にたって行動してくれたことが励みになった。法案の成立に向け、最後の最後までがんばりたい」と決意を述べました。
衆院での成立に全力
志位委員長が会見
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日本共産党の志位和夫委員長は五日、国会内で記者会見し、同日、参院厚生労働委員会で可決された後期高齢者医療制度廃止法案について、衆院での可決・成立を最優先に全力でとりくむ決意を表明しました。
志位氏は、厚生労働省が四日発表した同制度の保険料負担にかんする調査結果について、「調査方法自体にかなり問題があるものだが、それでも非常に重大な事実が明らかになった」と強調。所得の少ない人ほど保険料の負担増になった人が多く、所得の高い人は逆に負担増になった人が少ないことを示す調査結果だったと指摘しました。
厚労省がこれまで、「所得の少ない人は負担が下がる」と一貫して宣伝してきたとし、同制度の根本問題である保険料について、同省がウソをついてきた責任は重大だと批判しました。
そのうえで、「保険料の問題一点をとっても、制度の欠陥は明らかだ。野党が提出した、後期高齢者医療制度を撤廃し、新たな制度をつくり直すという法案に、与党も前向きに対応すべきだ」と強く主張しました。
また、記者団から、民主党が参院での提出を検討している福田康夫首相問責決議案について問われ、志位氏は、首相が問責に値するのは当然だと強調。同時に、後期高齢者医療制度廃止法案が参院で可決され、衆院に送られてくる以上、参院の意思を踏まえて衆院でも可決・成立させるために努力することが最優先だとの立場を示しました。
国民が望んでいるのは、高齢者差別医療制度の撤廃をなんとか国会で実現することだと力説し、「そのためにも、衆院での真剣な対応が求められる」と指摘。「わが党としても、可決・成立させるために最大限の努力をする」と表明するとともに、「民主党も、ぜひそういう姿勢で臨むべきだ」とのべました。
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