2008年6月3日(火)「しんぶん赤旗」
公害企業はCO2大排出源 全国被害者総行動
人も地球も壊すな
環境相 「産業部門の削減促す」
「ストップ!地球温暖化」「大企業からのCO2排出を野放しにするな」―。七月の洞爺湖サミットを控え、全国の公害被害者や環境市民団体の代表らが二日、鴨下一郎環境相はじめ関係省庁に地球温暖化防止のための国内対策の抜本的強化を求めて交渉しました。五月下旬のG8環境相会合後、環境団体らがこの問題で交渉するのは初めてのことです。
一九七六年にスタートした全国公害被害者総行動としてとりくまれたもので、ことしで三十三回目。
同実行委員会は、各地の大気汚染公害の元凶となった電力、鉄鋼などの大企業が、地球温暖化問題でも温室効果ガス(CO2など)の大規模排出源であることを指摘。石炭火力発電所など大規模排出源へのCO2削減義務付けと、日本として二〇二〇年の中期目標の早期決定などを正面にかかげて、署名などにとりくんでいます。
鴨下環境相との交渉で、早川光俊・地球環境と大気汚染を考える全国市民会議専務理事は「政府の京都議定書目標達成計画でもCO2の6%削減のめどはまったくたっていない」と現状を批判しました。
早川氏は、「産業部門の削減が重要で、政府として大規模排出企業の削減目標を明確にして、政府との協定化などを直ちに」と要請。自然エネルギー買い取り補償制度導入を求めるとともに、二〇二〇年に一九九〇年比25―40%の削減という先進国の削減数値を示して「二〇二〇年の中期目標を直ちに決定すべきだ」と訴えました。
鴨下環境相は「産業部門の削減が重要というのはそのとおりで、とりくみを促したい」と表明。五月のG8環境相会合での合意を説明し、「実効的目標を検討する」と答えました。
同総行動には熊本県を五月に出発したノーモア・ミナマタ国賠訴訟の日本縦断キャラバンのメンバーも合流して、全国の公害患者らが東京・霞が関の官庁街をデモ行進し、約七百人の唱和が環境省を包みました。
“世界に発信” 被害者が総決起集会
市田書記局長メッセージ
公害患者は、全世界に地球を守るための発信をしていこう―。二日夜、東京・日比谷公会堂で開催された全国公害被害者総決起集会では、総行動の歴史的な到達点を踏まえ、新たな役割と飛躍が求められていることが強調されました。
公害弁連の村松昭夫弁護士は、「公害も温暖化も同じメカニズム。企業と政府の利益追求による被害者は弱者だ。温暖化は公害が地球的規模で広がるようなもの。この問題を正面からとらえ、取り組みを強化しよう」と呼びかけました。
集会では、各地の取り組みが交流されました。昨年、東京都に医療救済制度を創設させるなど勝利和解した東京大気汚染裁判原告らから、ノーモア・ミナマタ国賠訴訟原告、よみがえれ有明海訴訟原告らに力強いエールが送られました。
ぜんそくの原因となるPM2・5(微小粒子)の環境基準の創設、水俣病の真の解決への取り組み強化、無駄で有害な大型公共事業反対のたたかいを粘り強く続けること、政府に京都議定書の削減目標を達成させることなどを決意したアピールを採択。日本共産党の市田忠義書記局長がメッセージを寄せました。
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