2008年5月31日(土)「しんぶん赤旗」
クラスター弾 禁止条約採択
国際会議 日本含む全会一致
【ロンドン=岡崎衆史】無差別殺傷兵器のクラスター爆弾を禁止するためアイルランド・ダブリンで開かれていた「オスロ・プロセス」の国際会議は最終日の三十日、史上初となるクラスター爆弾禁止条約案を日本を含む全会一致で採択し、閉幕しました。現存クラスター爆弾のうち、最新型以外のすべてを禁止するもので、実質的な全面禁止に近い内容です。
十二月二―三日にオスロで調印式が行われ、三十カ国が批准した後に発効します。
会議には約百十カ国が参加。クラスター爆弾の主要保有国の米国、ロシア、中国、イスラエルなどは会議に参加しませんでした。
条約は、クラスター爆弾の使用、開発、製造、入手、貯蔵、保有、移転とともに、条約非締約国のクラスター爆弾使用を支援、奨励することも禁止。締約国は、クラスター爆弾を、条約発効から八年以内に原則廃棄しなければなりません。
禁止の例外となるのは、子爆弾の数が十未満で、目標識別機能や自己破壊機能を持つ最新型のみです。
禁止対象の例外の拡大や禁止までの移行期間の設置を求めた日本の主張は退けられました。
一方、条約には条約非締約国との共同作戦に締約国が参加することを認める条項が盛り込まれました。同条項は、クラスター爆弾に固執する米国との共同作戦を念頭に、日本や英国が求めていました。
共産党 一貫して全面禁止主張
町村信孝官房長官は三十日の記者会見で、クラスター爆弾を事実上全面禁止する条約案に関して、「日本はクラスター爆弾による人道上の懸念を深刻に受け止め、コンセンサス(合意)に加わる考えだ」と表明しました。
政府はこれまで、米国が同爆弾禁止に反対していることなどから、「安全保障上の問題と人道上の問題のバランスを考え判断する」と説明。自衛隊も保有してきました。しかし、同爆弾の非人道性を批判する世論に押され、条約案受け入れに転じました。
日本共産党は国会で、自衛隊によるクラスター爆弾保有を批判。憲法九条をもつ国として同爆弾全面禁止へ主導権を発揮すべきだと主張してきました(四月の笠井亮衆院議員の質問)。またクラスター爆弾禁止推進議員連盟が超党派で結成され、同爆弾禁止を政府に求めていました。
町村長官は会見で、「(自衛隊が保有する)旧型爆弾の廃棄や新型への置き換えなど、具体的なことを考えていく」と述べました。