2008年5月30日(金)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療制度
不服審査請求相次ぐ
“なぜ差別する”
京都で369人
後期高齢者医療制度に、事前の説明もなく一方的に加入させられたなどとして、同制度の加入取り消しを求めて、京都府在住の被保険者や代理人ら百三十人が二十九日、京都府庁内の府後期高齢者医療審査会に対し、集団不服審査請求を行いました。審査請求したのは三百六十九人にのぼりました。生存を脅かす保険料徴収や医療の制限は憲法に違反するとして、「全京都生活と健康を守る会連合会」や年金者組合などが取り組んだものです。
請求に先立ち、日本共産党の松尾孝府議(76)は、いまだに自分の保険料通知が届いていない問題などを指摘し「なぜ医療に差別をつけるのか。野党四党の廃止法案を通すためにともにがんばりたい」と訴えました。
五月はじめに心筋梗塞(こうそく)で倒れて入院していた、男性(80)=京都市南区=は、「入院期間は二週間。リハビリをやり始めたところなのに、病院から『早く退院せよ』と言われた。今回の場合がこの制度とどう関係してるのかわからん。ただもう長生きできんし、回復の見込みがなくなれば切り捨てられる制度や。死ねといわんばかりや」と怒ります。
城陽市から来た女性(79)は、「とにかく保険料の天引きをやめて。医療費がかかるお荷物はいらんと言われてるようです」と話しました。
府審査会には、同制度にかかわる不服審査請求がこれまでに四十六件、提出されています。
“生存権脅かす”
福岡で358人
福岡県内の後期高齢者医療制度の被保険者や代理人が二十八日、福岡市博多区吉塚の福岡県後期高齢者医療広域連合を訪れ、保険料の賦課処分に対する集団不服審査請求を行いました。請求したのは三百五十八人。高齢者の医療費を減らすことなどをねらった同制度を廃止させようと福岡県高齢期運動連絡会と福岡県社会保障推進協議会が呼びかけたもの。年金者組合や介護保険に怒る一揆の会などから二百人以上が参加しました。
参加者たちは請求に先立ち、県庁前から広域連合まで元気にデモ行進。「後期高齢者医療制度 すぐに撤回させるぞ」「天引き許さんぞ」などと市民にアピールしました。
請求者たちは、担当職員に請求書を渡したあと次々に怒りを語りました。
福岡市城南区の男性(76)は「後期高齢者と聞いたとたん死期が近いのかなと思ってしまう。保険料が高すぎて、家族から切り離すのは納得がいかないし、年金から一方的に天引きするなんて泥棒といっしょ」といいます。
同市東区の女性(90)は「二カ月で五万九千円の国民年金が四月の振り込みは五万四千円に減っていた。もともとわずかしかない年金を勝手に減らすなんて納得できん」と話しました。
請求後、年金者組合県本部の古谷信一委員長と一揆の会の安東毅氏らが記者会見し、七十五歳以上の女性は四、五万円しか年金をもらっていない人が多く、「生存権を脅かす制度は許せない。こんな悪法はない」という怒りと「孫に小遣いもやれないし近所づきあいもできなくなる」という悲痛な叫びが寄せられていることを紹介しました。
不服審査請求者をもっと広げていくことと、六月十三日の第二回天引き日に座り込みやデモなどの街頭活動にも取り組み、悪法を絶対に廃止させたいと話しました。
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