2008年5月29日(木)「しんぶん赤旗」

主張

中期目標設定

温暖化対策の真剣さ問われる


 地球温暖化対策を主テーマとして神戸で開かれた主要八カ国(G8)環境相会合は、温室効果ガス削減の二〇二〇年までの中期目標について、具体的な数字を示しませんでした。日本政府は自国の中期目標を示さず、会議でも議長国としてのイニシアチブを発揮しませんでした。この姿勢では、温暖化問題が最大のテーマとなる七月の北海道洞爺湖サミットもみるべき成果のないまま終わりかねません。日本政府の態度が問われています。

産業界の意向で

 洞爺湖サミットを「地球の将来を討議し、明るい未来への展望をひらく絶好の機会」とした福田康夫首相のアピール(一月、ダボスで)と、政府の実際の行動の間には大きな開きがあります。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、温暖化が「回復不可能な結果をもたらす可能性」を警告し、今後の気温上昇を産業革命前に比べて二度以内に抑えなければならないとしています。昨年インドネシアのバリで開かれた国際会議では、先進国が二〇年までに一九九〇年比で25―40%削減する目標が確認されています。

 欧州連合(EU)は二〇年に一九九〇年比で20%削減するとの目標を掲げています。京都議定書から離脱し、「二五年までにガス増加をゼロに」を掲げて削減に抵抗するブッシュ米大統領は、今回が最後のサミットです。次期大統領はだれであれ、温暖化対策に熱心にならざるをえないとみられています。

 日本政府にとって必要なことは、温暖化を防止する立場に立って中期目標を設定する政治決断です。

 京都議定書第一約束期間に続く二〇一三年以降の新たな温暖化対策を決める国連交渉は、〇九年中の合意を目指しており、洞爺湖サミットは交渉を大きく前進させる機会になることが世界から求められています。

 議長国として交渉前進のリーダーシップをとるには、日本自身が温暖化防止に必要な温室効果ガス排出削減の中期目標を提示することがカギです。

 政府がいまなお中期目標を示せない背景には、削減目標をまず決めるのではなく、部門別に可能とされる削減量を積み上げる「セクター別アプローチ」を、産業界が要求していることがあります。

 産業界の自主目標に任せるこうしたやり方はすでに破たんしています。日本の〇六年度の排出量は前年度比1・3%減となったものの、産業部門は1・1%増となっています。大口排出業種である鉄鋼分野では前年度比2・2%増となり、自ら決めた削減目標さえ守れない状況です。

 環境相会合の議長総括は「セクター別アプローチ」について、積み上げと必要な削減レベルとの間のギャップを「埋める必要」を指摘するとともに、国別総量目標に「代替するものではない」とクギを刺しています。「セクター別アプローチ」に固執する日本は国際世論の批判を浴びており、削減目標の明確な設定が不可欠なことを明らかにしています。

緊迫感をもって

 日本共産党の市田忠義書記局長は二十七日、参院環境委員会で「今こそ中期目標を示す時だ」と強調し、その目標に照らして逆算方式でやるべきことを明らかにし、「緊迫感をもって取り組む」よう政府に迫りました。

 このままでは、日本は世界の流れから取り残されます。日本が「化石国」(NGOの指摘)であり続けることは許されません。



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