2008年5月28日(水)「しんぶん赤旗」
原油高騰 投機が原因
政府白書認める
高騰する原油価格の三分の一が投機マネーなどによる押し上げ分―。二十七日に閣議決定された二〇〇七年度の「エネルギー白書」が認めました。
白書は、一バレル=九〇ドル前後で推移した昨年末までの原油高騰の原因を分析。〇二年の二〇ドルから、イラク戦争を機に急騰し、六年で五倍以上になっています。
とくに、〇七年以降は、原油市場への投機マネーの流入による影響が大きいと指摘しています。〇七年末には、需給バランスによる価格は、五〇ドルから六〇ドル程度と分析。三〇ドルから四〇ドル程度がヘッジファンド(国際的投機基金)や年金資金などの流入による「プレミアム」(上乗せ分)だとしています。
現在は、一三五ドル前後までさらに急騰しています。需給バランスは変わっておらず、投機マネーなどによる高騰分は八〇ドル程度に及び、原油価格の半分以上が投機による上乗せ分だと考えられます。
しかし、同白書の対策は投機資金の実態の分析、統計整備にとどまり、投機マネーの規制にふみこんでの言及がありません。
また、石油にかわるエネルギーとして、安全性が確立されていない原子力を位置付け、地球温暖化問題を口実に原子力発電を「我が国で唯一のクリーンな基幹電源」とし、「これを好機として我が国原子力産業の国際展開を進める」とのべています。