2008年5月27日(火)「しんぶん赤旗」
岡山・三井造船の思想差別
共産党員ら勝利和解
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岡山県の三井造船玉野事業所の元労働者十二人が、日本共産党員やその支持者であることを理由に賃金・昇格差別などの人権侵害を受け、謝罪と損害賠償を同社に求めていた争議で、二十六日、勝利和解が成立しました。
三井造船は、「極秘」の印のついた内部文書「非健全派従業員名簿」をつくり、「党員又は(日本民主青年)同盟員」「シンパ」などと百人以上の従業員をリストアップし、差別をしてきました。
争議をたたかってきた前川守さん(65)は、退職前の四十四年間に昇格が一回しかなく、同世代の社員と基本給で月十三万円ほども格差がつけられていました。また、向野宏治さん(66)は職場から十二年間も隔離され、炎天下での草取りや掃除など強いられてきました。
同社の人権侵害について、二〇〇四年に日本共産党の井上美代参院議員(当時)が「非健全派従業員名簿」を国会で明らかにしてこの違法な差別を追及し、是正を要求しました。
「三井造船の人権侵害をやめさせる会」(向野会長)の元労働者十二人は世論に訴えるとともに、粘り強く会社と交渉し、人権侵害と思想差別の是正を求めてきました。
向野さんら十二人は同日、玉野簡易裁判所で和解の合意書に調印しました。前川さんは「会社が私たちの訴えを認め、要求にそった解決になった。思想差別であったことを社会的に明らかにすることができた。職場の不当労働行為や人権侵害のもとになっている思想差別が繰り返されることがないよう、これからも働く人たちの苦しみを解決するために役立ちたい」と話しています。