2008年5月26日(月)「しんぶん赤旗」

偽装ラブホテル3600店

小学校の目前 大阪

届け出の6倍 長崎

吉井議員に警察庁報告


 ビジネスホテルなどとして自治体の許可を得ながら、実態はラブホテルを営業している「偽装(類似)ラブホテル」が全国で三千五百九十三営業所にのぼることが、警察庁のまとめでわかりました。日本共産党の吉井英勝衆院議員に提出したもの。この数は、風俗営業法の届け出をしたラブホテル三千九百六十三営業所(昨年末現在)に匹敵します。なかには、小学校に隣接する偽装ラブホテルもあり、父母・市民から社会的な規制を求める声があがっています。


 偽装ラブホテルというのは、風俗営業法の届け出をしていないのに、ラブホテル営業を営む施設と同様の外観を備えるなどしているもの。警察では、「類似ラブホテル」といっています。

 警察庁提出資料(四月十日現在)によると、偽装ラブホテルが多いのは、東京都四百八十五、神奈川県二百五十八、埼玉県二百四十四、兵庫県百七十二、大阪府百六十四など。偽装ラブホテルの数は、届け出ラブホテル数の〇・九倍ほどですが、長崎県五・九倍、東京都が四・二倍、神奈川県二・九倍、兵庫県二・八倍など十六都府県で偽装ラブホテルの方が届け出ラブホテルの数を上回っています。(表参照)

 大阪市西区では、六メートル幅の道路をはさんで小学校の前に、ビジネスホテルとして営業許可を受けたにもかかわらず、ラブホテルが営業され、兵庫県明石市では、小・中学生の通学路にあたる山陽電鉄の駅近くに建設されるなど各地で問題になっています。

 吉井議員は、二〇〇五年十月以降、国会で再三、風俗営業法の規制を逃れるための偽装ラブホテル問題をとりあげ、徹底した規制を求めてきました。これを受け、警察庁は〇六年十月、「地域において問題になっているラブホテル等への対応について」との通達を出し、建築基準法や旅館業法などに違反する場合、関係当局に対し措置命令を出すなど適切な対応を積極的に申し入れるよう指示しています。

 泉信也国家公安委員長は、〇七年十一月の衆院内閣委員会で、吉井議員に「偽装して法のすきまをつくような行為はあってはならない」と答弁していました。

 吉井議員は、ことし四月二日の同委員会で、各地で地域住民や教育団体から規制を求める声があがっていることを指摘。「法律や条例のすきまをついて建設、営業を図るのが業者の特徴だ」として、指示文書を徹底し、法律や自治体独自の条例などを駆使して警察と関係機関が協力すれば、異常な事態は食い止めることができるとただしました。

 警察庁の片桐裕生活安全局長は、「違反形態があれば、関係当局に所要の行政命令などの発出を促す」と答弁、実態把握をさらに深めることを約束しました。


 偽装ラブホテル問題 風俗営業法では、学校や図書館、児童福祉施設の周囲二百メートル以内でラブホテルを出店することは禁じられています。ところが、この法規制を逃れて、学校近くや住宅地などで、ビジネスホテルなど一般のホテルとして営業許可を受けて、実際はラブホテルとして営業するケースが相次いでいます。

表

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