2008年5月26日(月)「しんぶん赤旗」
日本共産党国会議員の質問
行政チェック妨げる
塩川議員 政官接触制限を批判
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塩川鉄也議員は二十三日、衆院内閣委員会で国家公務員制度基本法案の質問に立ち、同法案の柱の一つである「政官接触制限」は国会の行政チェック機能を妨げるものだと批判しました。
同法案には「各府省に、国会議員への政策の説明その他の政務に関し大臣を補佐する職」として政務専門官の設置が明記されています。国会議員とのやり取りを政務専門官に限ることで、内閣の方針と異なる意見をもつ官僚が国会議員に働きかけ、政治決定を左右することをなくすというのが政府の説明です。
塩川氏は、「国会と国会議員の仕事の一つは行政に対するチェック機能を果たすことだ」と強調し、多岐にわたる行政の執行状況や一国会で百を超える法案を限られた数の政務専門官が把握し、国会議員に説明できるのかとただしました。渡辺喜美公務員改革担当相は「政務専門官以外の担当者が説明することもある」と答弁しました。
塩川氏が「それならこれまでと変わらないではないか」と追及。渡辺担当相は「職員が国会議員に接触する際に、大臣の指揮監督を効果的にするための規律を設ける」などと答弁しました。
塩川氏は「与党と官僚の癒着を理由に、こうした規制をもうけることは、法案の問題点を明らかにしたり、行政に対するチェック機能を果たそうとする国会議員の活動を制約する恐れがある」と批判しました。
悪徳商法対策 迅速に
吉井議員 実態に合う法改正を
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吉井英勝議員は二十三日の衆院経済産業委員会で、悪徳商法による消費者被害を予防、救済するための特定商取引法・割賦販売法改正案を評価しつつ、「被害実態に合わせた法改正や政令、ガイドラインの充実など迅速に対応すべきだ」と強調しました。
同改正案は、クレジットを利用した訪問販売などによる被害が深刻化していることを受けて提出されたもの。悪質な訪問販売に対する契約解除権や、クレジット会社(信販会社)に、訪問販売などを行う加盟店の調査義務を課し、消費者の支払い能力を超える与信契約があった場合は、既払い金を返還することなどを盛り込んでいます。
吉井氏は、訪問販売以外にも客を展示会場に誘い込み、強引に商品を購入させる「展示会商法」など、店舗を構えた悪質な商取引被害が生まれている例を具体的にあげ、「(改正案は)店舗販売の場合でも悪質な商取引を規制できるのか」とただしました。
経産省の橘高公久消費者政策担当審議官は、「展示会商法は規制対象。固定店舗による販売についても、放置できないものについては対応することが可能だ」と答弁しました。
吉井氏は、店舗販売でも被害が生まれた時には、「信販会社に既払い分を返還させることで社会的責任の自覚を促し、加盟店調査や与信審査を強化する動機付けを与えることになる」と強調。実態にあわせた運用を検討するよう求めました。
食の安全 ペットにも
市田議員 検査体制強化求める
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市田忠義議員は、二十二日の参院環境委員会で、愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律案に関連し、ペットに有害物質の使用禁止や検査機関の消費安全技術センターの充実・強化を求めました。
法案は、ペットフードの製造方法や成分を規定し、有害物質を含む製品の製造・販売・輸入を禁じるものです。
市田氏は、現在、ペットフードの原材料等は、使用量の多い順に八割まで表示されるだけで、義務のない残り二割に発がん性など危険性のある酸化防止剤や着色料を使用している事実を示しながら、有害物質使用の禁止を求めました。
環境省の桜井康好自然環境局長は、「毒性が明らかなものについては、検討したい」と答弁しました。
市田氏は、ペットフードの安全性確保では検査強化が大事であるとし、農林水産消費安全技術センターの抜本強化とともに、検査を抜き打ちで行うよう求めました。
鴨下一郎環境相は、「効率よく、抜き打ちを含めて緊張感が保たれるような検査のあり方が必要であり、環境省、農水省、安全技術センターが連携してしっかり取り組みたい」と答弁しました。
「学び」支える公民館
石井議員質問 参考人、充実求める
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衆院文部科学委員会は二十三日、社会教育関連三法(社会教育法、博物館法、図書館法)改定案について参考人質疑を行いました。
社会教育推進全国協議会委員長の長澤成次千葉大学教授は、改定案が「生涯にわたる『学び』の営みを人権としてとらえるのではなく、需要と供給の市場メカニズムでとらえることは、受益者負担の導入に結びつき、地域間格差や格差社会を再生産することにつながる」と警告を発しました。
また、社会教育で「公民館が地域で果たす役割は大きい」と強調。法案によって「自治体の社会教育行政・公民館の首長部局への移管が進み、社会教育行政が後退していく可能性がある」と指摘しました。
慶応大学の糸賀雅児教授、日本女子大学の田中雅文教授も意見をのべ、図書館や公民館の整備と充実を求めました。
日本共産党の石井郁子議員は、公民館での「学び」のあるべき姿について質問しました。長澤氏は、自らの体験もふまえながら、「子育て、環境など地域にさまざまな『学び』があり、地域社会を豊かにするうえで大きな意味がある」と答えました。
通関の公的役割放棄
大門議員 センター民営化批判
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大門実紀史議員は二十二日の参院財政金融委員会で、通関情報処理(NACCS)センターの民営化案を批判しました。
NACCSセンターは、輸入・納税申告の受理、徴税などの国固有の業務のほか、倉庫における貨物の搬出・搬入管理など民間業務としての物流管理を行う独立行政法人です。
大門氏は、輸出入及び港湾・入国管理手続業務に関連する各種システムを統合し一体的運営をすすめることには賛成できるが、運営主体である同センターを民営化し、新たに「輸出入・港湾関連情報処理センター」に特殊会社化することは、十分な吟味なしに直接的な公的役割を放棄するものだと指摘しました。
額賀福志郎財務相は、「極めて公共性の強いものもあるので、国が関与していく中で民間的な手法をもって効率化、合理化を図っていく」などと述べました。
大門氏は、何でも官から民へという民営化原理主義の路線が今ターニングポイント(転機)に来ており、世論や有識者も指摘するようになってきているにもかかわらず、本法案は小泉「改革」の呪縛(じゅばく)を引きずった「時期外れの法案」と強調しました。
道路計画自体見直せ
穀田議員 特定財源 既に破たん
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穀田恵二議員は、二十三日の衆院国土交通委員会で、政府・与党が十三日に道路特定財源を十年間維持する道路財源特措法を衆院で再議決した一方、来年度から「一般財源化」すると閣議決定したことについて質問しました。
穀田氏は、政府の一般財源化方針への転換で「特定財源を十年間維持するという政策は根本的に破たんした」と指摘。そのうえで、政府が見直すとした高速道路計画の評価・手続きなどの進ちょく状況をただしました。
国交省の宮田年耕道路局長は、将来交通需要予測、費用便益など事業評価方法、事業着手手続きについて、外部有識者を入れ、秋までに見直すことを明らかにしました。
穀田氏は、「一般財源化のもとでは、高速道路計画そのものを見直すべきで、つくることを前提にした見直しでは意味がない」とのべ、環境破壊などマイナス要因を事業評価に取り入れることを提起。また、計画策定における住民参画の仕組みを道路法にも盛り込むことも提案しました。
冬柴鉄三国交相は「道路中期計画をつくるときにたくさんの人から意見をもらった」と述べ、高速道路中心の中期計画に固執する姿勢を示しました。
農業・産業に悪影響
笠井議員 日ASEAN協定反対
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日本とASEAN(東南アジア諸国連合)の包括的経済連携協定が、二十三日の衆院本会議で自民党、公明党、民主党、国民新党の賛成多数で可決されました。日本共産党と社民党は反対しました。
これに先立ち、笠井亮議員は二十一日の衆院外務委員会で、同協定が国内の農業・産業等にあたえる影響について政府をただしました。
笠井氏は「協定発効後の十年後には、米などの国家貿易品目以外の農産物の関税率がゼロになり、農林水産物の輸入が増えていくのではないか」と指摘。農水省の林田直樹審議官は「関税はゼロになる」と認めました。笠井氏は「関税撤廃は農業と食料、地域経済の広い分野に影響が出る」と懸念を指摘しました。
同協定では、日系企業がASEAN域内で貿易する場合に一定の条件を満たせば関税がなくなることになります。
笠井氏に対し、経済産業省の佐々木伸彦審議官は、日系企業がASEANの国で完成品を組み立て、ASEAN域内から日本などへ輸出することが協定の特徴であることを認めました。
笠井氏は「日本企業は、“国境”がなくなり、海外に移動する流れが強まる。その結果、下請け、子会社の労働条件引き下げ、雇用削減が起こる」と危険性を指摘、農業分野とともに産業分野にもマイナスの影響が懸念されると述べ、反対の態度を表明しました。