2008年5月23日(金)「しんぶん赤旗」

主張

道州制提言

地方自治を破壊する工程表


 自公政府と財界が推進する道州制導入をめぐって、報告や提言が相次いでいます。

 安倍前内閣のもとで設置された「道州制ビジョン懇談会」は、今年三月二十四日に中間報告を発表しました。自民党の道州制推進本部も、近く報告をとりまとめる予定です。

 日本経団連は、昨年三月の「道州制の導入に向けた第一次提言―究極の構造改革を目指して―」に続き、今年三月十八日に中間報告を発表、今年秋に最終的な第二次提言をまとめる予定です。

「分権国家」称し自治壊す

 財界団体は、中央だけでなく、中部経済連の提言(〇八年二月)、九経連のシンポジウム「道州制で日本を変える」(〇八年二月)のほか、北海道、東北、関西、四国など、全国各地でさまざまな形で道州制導入の世論作りをはじめています。

 道州制導入の意義について、ビジョン懇の中間報告は、「わが国の統治機構を変える大改革」と位置づけ、経団連の中間報告は、「究極の構造改革」であると強調しています。

 両者に共通しているのは、道州制導入の基本的ねらいが、単に「都道府県の再編」ではなく、国の仕事を外交・防衛などに限定し、地方自治を根底から破壊する改革をめざしていることです。

 財界は、最終提言には「道州制導入を機に内閣制度を根本から改革」、「国会の各院の構成」など「議会制度の改革」までも盛り込むと予告しています。

 自公政府と財界の道州制導入のもう一つのねらいは、地方自治の破壊をすすめながら、地方の経済と行政を「広域経済圏」として再組織し、「グローバル企業の新規立地や投資拡大」(財界報告)、「グローバル化のなかで日本が国際競争力を維持・拡大」(ビジョン懇報告)できるようにすることです。

 「ビジョン懇」や財界の中間報告は、道州制によって「明治いらいの『古い国の形』である中央集権体制を解体」して「分権型国家」にするなどと述べています。

 「地域主権型道州制」、「国民のニーズに応えられる体制」などをかかげていますが、その理念は、「自己決定・自己責任の原則」、「国民に自助と自立の精神」を引き起こすことだと強調しています。道州制導入によって、福祉、医療、教育などの大幅な切り下げと住民の負担増が同時にすすむことは明らかです。

 いま重視すべきことは、財界や政府は、道州制を「二〇一五年度に導入」(財界)、「二〇一八年度までに完全移行」(ビジョン懇)などという工程表をかかげて、国民の意向はそっちのけで、一方的に世論形成に力を入れようとしていることです。

 地方自治の根本的再編を上から押し付けようとする、こうしたやり方は、地方自治の原則に真っ向から反します。

導入計画にストップを

 憲法九条を守る草の根でのたたかいとも結びついて、地域の医療や福祉など、地域住民の暮らしを守る運動が新たな広がりをみせています。

 こうした住民運動の発展のなかで、自公政府と財界の道州制導入のねらいを暴露し、導入計画にストップをかけることが課題です。

 日本共産党は、「地方政治では『住民が主人公』を貫き、住民の利益への奉仕を最優先の課題とする地方自治を確立する」(党綱領)ことをかかげています。財界と自公政府の道州制導入の策略をやめさせるため、住民とともに力をつくします。


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