2008年5月22日(木)「しんぶん赤旗」
主張
消費税
自公政治は「年貢の納め時」に
福田内閣と与党、財界の中から、いっせいに消費税の増税論が噴き出しています。
自民税調は二十日、「消費税を含む税制抜本改革」の議論を早々に開始しました。自民税調の小委員長を務める与謝野馨・前官房長官は「消費税率を10%に引き上げるところまでは、国民は耐えていただかなければならない」と著書に書いています。
内閣府が十九日に公表した最低保障年金の試算では、無駄遣いの是正や法人税は初めから対象外にして、財源の全額を消費税にした数字しか示しませんでした。福田内閣の消費税増税シフトは徹底しています。
社会保障に反する税制
社会保障のためと言って一九八九年に導入され、九七年に増税された消費税の税収は累計で百九十兆円。同じ期間に法人税率は12%も引き下げられ、法人税と法人事業税、法人住民税の法人三税は百六十兆円もの減収になりました。さらに、消費税の導入前と比べた軍事費の増加額の累計は二十兆円に達します。
社会保障や財政再建どころか、消費税の大半が法人三税の減収に吸い込まれ、軍事費の増加に費やされた計算です。自民党と財界にとって消費税は、大企業への大盤振る舞いと軍事費の聖域扱いという、巨大な浪費を可能にしてきた“打ち出の小づち”にほかなりません。
庶民と中小企業には消費税はきわめて過酷な税金です。消費税は生活保護を受けている世帯にも、派遣や請負など不安定雇用に苦しむ若者にも一律に課税される庶民いじめの税制です。力の強い大企業は消費税を価格に転嫁して課税を逃れられる一方、立場の弱い中小企業は、たとえ赤字でも自腹を切って納税させられる弱い者いじめの税制です。弱い立場に立たされた人を、所得の再分配によって助ける社会保障の目的とは正反対の福祉破壊税です。
「社会保障のため」というのが政府・与党の口実にすぎないことは、消費税導入から二十年目の今年四月、高齢者を冷たく差別する後期高齢者医療制度を強行したことで、いっそう明白になっています。
とりわけ強硬に消費税増税を主張しているのは、強者の代表である日本有数の大企業の経営者です。
日本経団連は二十日の提言で社会保障を消費税で賄うよう要求し、基礎年金の税方式化を求めました。御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は、消費税を社会保障目的税にした場合、将来の税率は「10%で収まるとは思っていない」とのべました。狙いは消費税を再び法人実効税率の引き下げの財源にすることであり、基礎年金の「税方式化」で基礎年金保険料の企業負担三―四兆円を免れることです。
日本経団連の提言のタイトルは「国民全員で支えあう社会保障制度を目指して」といいます。並のずうずうしさではありません。
世論で思い知らせよう
自民党の伊吹文明幹事長は、「国民が使っているものに年貢が追いつかない場合は、国民が年貢をもう少し増やすのは当たり前のことだ」と消費税増税論を正当化しました。くらしや社会保障は負担増の連続です。「国民が使っている」のではなく、財界・大企業が潤っています。「当たり前」なのは、大企業が「年貢をもう少し増やす」ことです。
若者にもお年よりにも貧困が広がり、これほど社会問題になっても、庶民いじめの消費税増税を強行しようとする自公政治こそ「年貢の納め時」です。世論の力で思い知らせようではありませんか。
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