2008年5月21日(水)「しんぶん赤旗」
米兵の暴行
政府、賠償肩代わり
被害女性に見舞金300万円
防衛省は十九日、神奈川県内で二○○二年に起きた在日米兵による女性暴行事件で、米兵に代わって見舞金三百万円を救済措置として女性に支払うことを決めました。米兵には民事訴訟で支払い命令が出ていましたが、既に帰国しており、米政府も支払わないことから、日本政府による支払いが必要と判断しました。
女性はオーストラリア出身のジェーンさん(仮名)。ジェーンさんへの支払いは、日米地位協定で救済されない被害に対して見舞金を支給できるとした一九六四年の閣議決定に基づきます。防衛省によると、この決定を適用したのは最近三年間で今回が十回目といいます。日本政府が米兵による性暴力被害者に見舞金を支払うのは初めて。
ジェーンさんは○二年四月、神奈川県横須賀市で米空母キティホークの乗組員に性暴力を受けました。米兵は刑事手続きでは理由を明らかにされないまま不起訴になりましたが、民事訴訟で○四年十一月、ジェーンさんの被害が認められ、東京地裁が三百万円の支払い命令を米兵に出しました。しかし、米兵は裁判途中に帰国し、賠償金は支払われませんでした。
日米地位協定では、公務外で事件事故を起こした米兵に支払い能力がない場合、米政府が慰謝料を支払うことになっています。しかし、米国の国内法では支払期限は発生から二年以内となっており、命令が出た段階で既に期限を過ぎていました。
ジェーンさんは今年三月二十三日に沖縄県北谷町で開かれた「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」で、暴行を受けた苦しみなどを壇上から訴えました。
謝罪まであきらめない
被害者ジェーンさんの話
米兵と米政府は責任をとって、きちんと謝罪すべきです。
米兵は審理中にアメリカに逃げ帰ったまま、いまも私に対する責任も持たず、謝罪もしていない。アメリカ政府も私が出した手紙に一度も返事を返してこない。これは正義じゃない。本当の正義は、すべての被害者に責任を持ち、謝罪することです。
私はこの六年間、苦労と涙ばかりでした。ビクティムバッシング(被害者攻撃)はいまも受け続けています。私は負けても負けてもあきらめない。加害者が捕まって、私に謝罪するまで頑張ります。
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