2008年5月20日(火)「しんぶん赤旗」
米軍
17歳未満勧誘が常態化
子どもの権利条約「議定書」に違反 国連に人権団体報告
【ワシントン=鎌塚由美】米軍が公立学校の生徒を対象に兵士勧誘を常態化させている問題で、米人権団体の全米市民的自由連合(ACLU)がこのほど、子どもの権利条約の「選択議定書」に違反すると指摘する報告をまとめました。議定書の順守を検証する「国連の子どもの権利に関する委員会」に十三日、提出されました。
子どもの権利条約を批准していないのは、世界でソマリアと米国だけ。しかし米国は二〇〇二年に同条約の「武力紛争における児童の関与に関する児童の権利条約選択議定書」を批准しています。
報告は、公立学校が「主な勧誘拠点」となり、勧誘対象の最年少は同議定書で十七歳と定められているにもかかわらず、十七歳未満の生徒を「標的にした勧誘が常態化」していると批判しました。
また、米軍が数万人にのぼる十六歳の生徒の情報を収集し、幼年予備役将校訓練部隊(JROTC)と呼ばれる公立学校での軍事教練プログラムに、十一歳の生徒まで参加させていると指摘。強制的な勧誘が行われている実態を批判しました。
米国が「テロとのたたかい」の名の下に、未成年者を拘束していることも報告。グアンタナモ基地で、当時十五歳だったカナダ国籍の収容者が「十歳当時の容疑」を理由に拘束されていると指摘しました。
ACLUは、子どもの権利条約が「もっとも包括的な子どもの権利」をうたうものだと指摘。「米国が世界の人権のリーダーを主張するのであれば、子どもの権利条約を批准し、世界の国々に加わるべきだ」と求めました。
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