2008年5月19日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

守ろう! 食と農

自給率向上、地域から

生産者と消費者が一体で


 食の安全と地域農業を守り、食料自給率向上を求める農業者と消費者の共同の取り組みを紹介します。


菜種栽培、「まつり」で発展

茨城

 食と農・暮らしと健康・平和を守る共同をスローガンにした「第10回菜の花まつり」が四月二十七日、茨城県結城市の満開の菜の花畑(一ヘクタール)で開かれ、多くの人が参加しました。

 菜の花畑に隣接した雑木林の中に作られたステージでは、茨城ダルクの和太鼓演奏を皮切りに百姓フォーク ヒューマン・ファーマーズ、いわき雑魚塾、かごや姫、ともいき(群馬ハンセン病訴訟を支援しともに生きる会)の歌やバンド演奏。春風三郎のマジックなどが繰り広げられました。

 参加団体の模擬店やフリーマーケットがにぎやかに並び、茨城県西(けんせい)農民センター朝市部会の新鮮野菜の直売や農民センター女性部(わかばの会)の国産菜種油で揚げた天ぷらは行列ができる人気でした。

朝市が交流の場

 菜の花まつりは十年前、茨城県西農民センター会長の北嶋誠さんがくも膜下出血で倒れ農作業ができなくなったことをきっかけに始まりました。

 北嶋さんの農作業を手伝おうと始まった援農は、消費者も次々に参加し自給率の低い菜種の栽培に発展してきました。満開の菜の花を見るだけでなく、本物の菜種油を食べようと搾油所を見つけ初年度は三百五十リットルの収穫があり多くの消費者に喜ばれました。

 また、毎週開く健康朝市は筑西市では十九年、結城市では十八年続いています。農家が取れたて野菜や米を直接販売し、消費者と交流する場として大きな役割を果たしています。

 米の生産、産直も部会で取り組んでいますが、農薬を減らし安全で安心な米を生産するために今年から茨城県特別栽培農産物認証制度に基づいた取り組みを始めました。

農政変えよう

 国民の食糧と健康を守る運動茨城県西連絡会(県西食健連)は、農民、消費者、労働者、中小業者が、菜の花まつりをはじめ、夏の輸入食品見学、秋の朝市まつり&収穫祭、学習・講演会、署名、国会や省庁交渉、地方議会請願などに取り組んでいます。

 国内の農畜産物を守ろうと、今年から取り組んでいる自給率向上署名は、これまでに会員の六倍、約三千人分を集めています。相次ぐ農畜産物の輸入拡大で農家の経営は危機的状況におかれて離農する農家も相次いでいます。そういう中で、食料と食の安全を守るために農政をかえる取り組みも進めています。

 減反中止や農薬の空中散布中止、学校給食へ地元産農畜産物を供給することなどを求め、新日本婦人の会や消費者と一緒に自治体、農協や共済組合との懇談や申し入れも行ってきました。それらの取り組みの中で、古河市(旧総和町)では、国産小麦100%の学校給食のパンを実現しました。(茨城県西農民センター・初見安男)

「わたしの田んぼ」運動

神奈川

 一年分の米を生産農家と年間契約して、毎月届けられる産直米づくりを市民農園「わたしの田んぼ」といっています。「わたしの田んぼ二〇〇八 田植え祭」が四月二十九日に千葉県の多古・佐原・干潟各会場で行われました。

家族で楽しみ

 新日本婦人の会神奈川県本部が取り組んでいるもので、今年も県内十七地域(市町)から四百二十人を超える会員や家族連れが参加し、田んぼに苗を植え、タケノコ掘り、イチゴ狩りに挑戦しました。田んぼのまわりでは、おとなも子どももセリやクレソン、山菜などを摘み、ザリガニ、オタマジャクシ、カエルと遊んで、一日、自然を満喫しました。

 カエルの合唱と豊かな水が流れる水路、広がる水田こそ、日本の農業の美しい風景ではないでしょうか。横浜から毎年欠かさず参加している会員は「ここに来ると気持ちがとても落ち着き、癒やされるんです」と話しています。「毎年親子で楽しみにしています。堪能できました。秋の稲刈りが待ち遠しい」「今年は嫁さんも参加して、孫たちが大喜び」などの感想が寄せられています。

 多古町旬の味産直センターの代表・高橋清さんは「山に囲まれた水田は、谷津畑といって特においしい米がとれるんですよ」と説明、この日植えた「こしひかり」の苗が、九月に収穫できます。

地球にも優しい

 世界的な穀物不足が続く中で政府は減反を農家に強制しています。産直運動の市民農園「わたしの田んぼ」は、減反をはね返して自給率を上げること、オリジナルの有機肥料で河川や海も汚さず、安全で環境も守り、あの美しい水田が災害を減らす自然のダムであることを考えると、待ったなしといわれる地球温暖化防止にもつながる「食と地球を守る」運動だと思います。

 くず米や古米がスーパーで広がっている中、産直米を広げようと新婦人の班、サークル(小組)では、安心の国産米、産直米を班の小組合同体験会で試食してもらい、野菜の産直ボックスも紹介して仲間になってもらっています。みそづくり、ウインナーづくりは若いママや子どもたちに人気です。

 まもなく恒例の「大豆トラスト」が六月から始まります。消費者が畑を借りて大豆を植えてもらい、その大豆でみそ、しょうゆ、きな粉などが作られ届けられる運動です。

 子どもたちの未来のために安全な食料、住みつづけられる地球を残すために農民連のみなさんと一緒に草の根で大きく運動を広げたいと思います。(新日本婦人の会神奈川県本部・高浦福子)


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