2008年5月19日(月)「しんぶん赤旗」

主張

クラスター爆弾

待ったなしの禁止条約作り


 クラスター爆弾禁止国際会議が十九日から三十日まで、アイルランドのダブリンで開催されます。

 昨年二月のオスロ(ノルウェー)会議以来、クラスター爆弾の禁止を求める有志諸国は、一連の会議をふまえ、ダブリン国際会議で禁止条約案をつくる予定です。二週間もの会期は、条約案作成の意気込みの強さのあらわれです。とりくみは全体として確かな進展をみせ、条約案作りの作業も進んでいます。しかし一方で、日本、ドイツ、フランス、イギリスなどがクラスター爆弾の温存を認める修正案をだし、全面禁止措置に抵抗する姿勢を強めているため、予断を許さない状況です。

日本政府は抵抗勢力

 ダブリン会議の主催国であるアイルランドのアハーン外相は、年末までのクラスター爆弾禁止条約締結を確認した二月のウェリントン(ニュージーランド)宣言の署名国は、八十二カ国から百カ国以上に増えたと報告しました(四月二十七日)。ダブリン会議で条約案づくりを完結するともいっています。クラスター爆弾による十万人以上ともいわれる被害者、赤十字国際委員会などの人道機関、NGO、多くの国の願いととりくみが、実るまでになっていることはたいへん貴重な成果です。

 クラスター爆弾は、一つの親爆弾からばらまかれた数百個の子爆弾のうち、相当数が不発弾として地上に残り、何も知らない子どもたちが不発弾を拾い上げ、握りしめると爆発します。アメリカやイスラエルなどは侵略のたびにクラスター爆弾を多用し、被害を大きくしています。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が、「国際人道法への重大な挑戦」と非難する、非人道・残虐兵器であり、全面禁止にするのは当然です。

 重大なのは、日本がクラスター爆弾全面禁止の抵抗勢力になっていることです。政府がウェリントン会議で提案しダブリン会議にもちこむ修正案は、十個以内の子爆弾をもつクラスター爆弾を認める、不発弾として残る率が1%以内なら認める、自爆装置つきや精密誘導装置つきなら認める、限定した地域での使用を認める、というものです。これはクラスター爆弾の温存をねらう提案でしかありません。全面禁止を妨害するためのむきだしの抵抗であり、国際社会の非難は避けられません。

 1%以内ならいいという考えがそもそも間違っています。不発弾として残る子爆弾を、子どもたちが拾い上げ、仕事中のおとながふみつけたりすれば爆発し、命を奪い、からだに障害を残します。だからこそ非人道・残虐兵器といわれ、国際社会が全面禁止を求めているのです。批判をあびているのは当然です。

 政府がクラスター爆弾に固執するのは、アメリカとの共同作戦を念頭においてのことです。将来、海外で使用しないとの保障もありません。

 クラスター爆弾を温存することは、戦争を放棄し、紛争の平和的解決を求めている憲法の平和原則に反するのはあきらかです。

国際世論に呼応して

 クラスター爆弾の温存に躍起となっている日本政府の異常さに、国内でも批判の声が大きくなっています。国会でもクラスター爆弾禁止議員連盟がつくられました。会長の河野洋平衆院議長は「積極的に対応する必要がある」とのべています。

 クラスター爆弾を保有し続け、温存させようとする日本政府の姿勢が根本から問われています。政府はクラスター爆弾温存の修正提案を撤回すべきです。


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