2008年5月18日(日)「しんぶん赤旗」
建設アスベスト
深刻な被害告発次々
首都圏電話相談 掘り起こし今後も
建設現場のアスベスト(石綿)による健康被害で国と建材メーカーの責任を問う裁判をたたかっている首都圏アスベスト訴訟原告団は十七日、東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県四会場で電話相談を行い、建設労働者や家族などから相談が寄せられました。
東京会場の東京土建一般労働組合本部(新宿区)では、弁護士や組合の専従職員ら十人が相談を受けました。
午後一時の受付開始時間を待ちかねたように電話をかけてきた八王子市の男性は、ゼネコンの現場監督として長く働いていた兄を十八年前に中皮腫で亡くしたといいます。労災保険の遺族補償給付は時効ですが、石綿健康被害救済法で来年三月までに申請すれば一時金か年金が受けられるという説明をきいて、ほっとした様子でした。若い男性の相談者は、来週から派遣先で建材を運ぶ仕事に入ることになり「心配で電話した」といい、建設現場のルールなどの説明を受けていました。
二十年間建設現場で働いた父を中皮腫で亡くした女性は、「これまで補償の申請を考えてこなかったが、裁判の動きをみて電話した」と話しました。この事例では、現在の「救済法」で救済を受けられない「すき間」の時期に亡くなっていることがわかり、相談者は「法の抜本見直しが必要です」と話しました。
相談にあたった東京土建の三宅一也常任中央執行委員は「まだ多くの被害者が残されており、その掘り起こし、救済が必要だ。訴訟でアスベスト問題への関心が広がっていることを生かし、今後も継続した取り組みをすすめたい」と語っていました。
主な相談内容
▼都内の女性 夫が昨年、中皮腫を発症、現在公務災害の申請中。一九六二年まで海上自衛隊に勤務しており、アスベストを吸い込んだのは自衛艦内でと考えられる。約四十五年間の潜伏期間があったことになる。
▼千葉県内の男性(83) 退職後の再就職先で、地下室での作業があり、アスベストを浴びたのではないかと思う。最近せきがひどく心配だ。専門医を紹介してほしい。
▼神奈川県内の男性(62) 六年前まで電気工事の仕事をしていた。最近せきがひどく、かかりつけの医師から「アスベスト被害ではないか」と言われた。