2008年5月17日(土)「しんぶん赤旗」
米兵受刑者 秘密合意根拠に優遇
ステーキ・パイ・ケーキ… 罪犯しても特別メニュー
日本国内でさまざまな特権を保障されている米兵は、罪を犯して刑務所に入っても、他の受刑者に比べ優遇されています。一番の問題は特別メニューの豪華な食事です。実態はどうなっているのか、根拠はどこにあるのか。
表は、日本共産党の井上哲士参院議員に法務省が提出した横須賀刑務所の一週間分のメニュー(今年三月二十三―二十九日)です。同刑務所は、日本で罪を犯したすべての米兵受刑者を収容しています。米兵受刑者にはステーキなどの肉類、フルーツやデザートがほぼ毎食欠かさず出され、日本人受刑者との差は歴然としています。
米軍から補充日本政府容認
日本人受刑者とメニューが異なるのは、米軍が横須賀刑務所に補充食料を届けることを日本政府が認めているためです。政府は、日本人受刑者はもちろん、米軍関係者以外の外国人受刑者への補充食料も認めていません。その点でも、米兵受刑者は特別待遇です。
日本政府は、補充食料の提供を認める根拠として、“日本の当局が米軍関係者を拘束した場合には、日米両国間の慣習等の相違に適当な考慮を払う”とした日米合同委員会の合意があることを挙げます。
しかし“日米間の慣習の違いに考慮する”というだけでは、食事面で米軍関係者を特別に優遇する根拠にはなりません。
実は政府は、この合意の「要旨」については公表していますが、合意の全文そのものは非公表・秘密扱いにしています。
「要旨」では確かに「日本国の当局は、合衆国軍隊の構成員、軍属又はそれらの家族の身柄を拘束した場合には、日米両国間の言語及び習慣の相違に適当な考慮を払い」としているだけです。
処遇での格差解決先延ばし
ところが、すでに明らかになっている法務省作成のマル秘資料(一九七二年)に掲載されている合意全文は、前記の要旨の文言に続き、次のように明記しています。
「このような習慣の相違が拘束された者の健康に害を及ぼすような拘束の条件は課さないものとする。拘束されたそれらの者の習慣となっている食事について配慮がなされる」
秘密扱いの合意全文では、米兵受刑者の「習慣となっている食事」の提供を明記しているのです。
日本政府は現在、「最終的には(米兵受刑者と日本人受刑者との)処遇の格差は是正されるべきだ」との立場です。しかし、刑務所内での優遇措置は、米兵が日本で罪を犯しても大したことはないという意識を生み出すものです。「最終的には」などといって解決を先延ばしすることは許されません。秘密合意の問題を含め国民に隠し立てせず堂々と対米交渉し、早急に改善を図るべきです。(榎本好孝)
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