2008年5月16日(金)「しんぶん赤旗」

主張

内閣支持率

世論に背く暴走が低下を加速


 「朝日」20%、「日経」21%、「毎日」18%、共同通信19・8%、ANN18・2%、NHK21%、JNN23・2%…。新聞やテレビの世論調査で、福田康夫内閣の支持率低下がつづき、五月になってからは、ついに20%を割り込むまでになりました。

 逆に不支持率は上昇し、六割を超し八割に迫っています。七十五歳以上の老人を、うば捨て山に追いやる後期高齢者医療制度を強行し、ガソリンの税率引き上げや、ムダな道路建設を進める特定財源を衆議院の再議決で成立させるなど、世論にそむく暴走を重ねた結果です。

20%割れは政権末期

 新聞やテレビの世論調査は調査の方法や数でばらつきがあり、情勢の一断面にすぎませんが、どの調査でもそろって支持率が下落し、しかも20%前後になるというのはめったにありません。内閣支持率が20%を割り込んだのは二〇〇一年の参院選を前に退陣した森喜朗内閣いらいで、内閣支持率で見る限り、福田内閣は、政権末期の様相です。

 重大なのは、どの調査を見ても、内閣支持率が下がっているのは福田首相の人気がないとか「実行力」が足りないとかいうことではなく、首相がすすめた一連の政策そのものへの批判が高まっていることです。

 たとえば四月から強行した後期高齢者医療制度については、「評価しない」が「日経」で74%、「毎日」で77%、JNNで75%などとなっており、「廃止すべきだ」も「共同」で46・5%、NHKで33%(ほかに「見直し」が54%)、ANN62%などとなっています。

 一方、ガソリンの価格を大幅に引き上げることになった暫定税率復活にたいしても、「反対」が「朝日」66%、「日経」64%、「毎日」74%、「共同」72%、ANN64%、NHK67%、JNN71%と、圧倒的です。ガソリン税などを一般財源化することには「朝日」で67%が賛成、特定財源を続けることに「反対」はNHKで42%、ANNで66%でした。

 福田内閣はもともと、安倍晋三前内閣が昨年の参院選で惨敗し、首相自身が政権を投げ出したのを受けて発足したものです。小泉純一郎内閣と安倍内閣が進めた異常なアメリカいいなりの政治や「構造改革」路線の行き詰まりは明らかなのに、福田首相はそれを変える意思も力も持たないまま、この八カ月近くを過ごしてきました。

 しかも今年になってからも、後期高齢者医療制度など国民いじめの政策を続け、それに加えて、インド洋への自衛隊の派兵を続けるための法案、四月に廃止したガソリンへの暫定税率を復活させる法案、ガソリン税を道路の特定財源とする法案を相次いで衆院での再議決で成立させました。国民が強く反対している政策を与党の数の力で強行するのですから、内閣支持率の低下はいわば自ら招いたのも同然です。

自民党政治の行き詰まり

 福田内閣が、国民が求めるやるべきことはやらず、国民が反対していることは力で押し切ってでも強行する政治を続ける限り、支持率回復はありえません。安倍内閣が崩壊し、福田内閣が発足したこと自体が、自民党政治の行き詰まりを示すものでしたが、その福田内閣の支持率が急速に低下しているのは、国民がもはやこれまでの枠組みを出ることができない自民党の政治に、期待していないことを象徴するものです。

 国民は自民党政治にかわる新しい政治を求めています。その実現のためにも、世論と運動で悪政の暴走をやめさせることが不可欠です。


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