2008年5月14日(水)「しんぶん赤旗」
台湾危機時の中国原爆投下作戦
嘉手納から出撃計画
米解禁文書
【ワシントン=西村央】一九五八年の台湾危機の際に、米空軍が中国への原爆投下作戦を計画し、当時米国の占領下にあった沖縄・嘉手納基地がその計画に組み込まれていたことを示す文書が明らかになりました。米研究機関ナショナル・セキュリティー・アーカイブが情報公開法をもとに入手した解禁文書をこのほど公表したものです。
この文書は一九六二年十一月に米空軍の戦史部門がまとめたもので、「一九五八年の台湾危機における空軍作戦」との表題がつけられています。
文書は、当時の中国人民解放軍の空軍戦力などを分析しながら、米空軍の攻撃態勢を三段階にわたって明記。その第二段階で「核兵器の使用」を明記し、原爆投下の計画を立てています。
核攻撃について、「フィリピンのクラーク空軍基地と沖縄の嘉手納空軍基地から出撃する」と記述。「クラーク基地の第一三空軍が太平洋空軍および台湾空軍による航空作戦の立案を行うことになっていた。日本に司令部を置く第五空軍は作戦の初期段階で給油や戦術面、偵察の支援を第一三空軍に提供することになっていた」と両基地の分担を説明しています。
また文書は、当時のマッカーサー米駐日大使が「中国本土に対する戦争の際、在日米軍基地を使用しないよう、日本政府が米側に要請するかもしれない」と警告していたことを明記。「(原爆投下作戦が)全面的に実施されるかどうか不確定だった」としています。結局、当時のアイゼンハワー大統領が通常兵器の使用を命じたため、原爆投下は実施されませんでした。
今回明らかになった空軍作戦の文書は、沖縄が米軍の核戦略に深く組み込まれていたことを改めて示すものとなっています。
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