2008年5月14日(水)「しんぶん赤旗」

主張

道路財源法再議決

コンクリートで固まった政権


 福田内閣と自公両党は圧倒的な世論を無視し、ガソリン税などを今後十年にわたって道路につぎ込む道路財源法案を衆院で再議決しました。ガソリン税を倍加する「暫定税率」の再議決に続く暴挙です。

 先週末のJNN調査によると、道路財源法案の再議決を「支持する」と答えた人は21%で、「支持しない」人が74%に上っています。民意を踏みにじり、高速道路に固執する自公の異常さが際立っています。

閣議決定のごまかし

 これに先立って福田内閣は、道路特定財源を「二〇〇九年度から一般財源化する」とした「基本方針」を閣議決定しました。自民党内の“造反”を抑えるための“証文”です。ところがその実態は、公明党の冬柴鉄三国交相や自民党道路族らの要求通りに、際限のない高速道路建設を推進する証文となっています。

 基本方針が「着実に整備する」と明記した「必要と判断される道路」とは、首相が参院で答弁したように十年で五十九兆円の道路中期計画の道路です。しかも基本方針は、まだ閣議決定に至っていない中期計画を五年に短縮した上で「策定する」、つまり閣議決定するとのべています。

 従来の道路整備は五カ年計画で進めてきました。どさくさまぎれに狙った十年への延長をひっこめただけで、計画を縮小するような中身ですらありません。あらかじめ事業総額を決めて予算を“先取り”するやり方は、かつて政府も「資源配分を硬直的なもの」にすると閣議決定で批判した旧態依然の手法です。

 基本方針は「総額先にありき」のやり方を続けることを宣言したも同然です。たとえ一般財源化しても、果てしなく高速道路を造り続ける膨大な浪費は止まりません。

 政府・与党は〇九年度の一般財源化と根本から矛盾する道路財源法を強行する口実として、繰り返し地方の財政難を持ち出しました。しかし地方赤字の大もとは政府が押し付けてきた巨額の公共事業であり、一気に財政悪化を招いたのは自公政権による地方交付税の大幅削減です。

 地方の危機は高速道路の問題にではなく、住民の暮らしと営業の困難に切実に表れています。道路財源法を強行しても地方に回るのは道路にしか使えない特定財源です。それより、補正予算を組んで地方交付税を増額するなど一般財源として地方に配分するほうが、はるかに住民の役に立つことは明らかです。

 ドライバーら千七百万人が加入するJAFの〇六年調査によると、「改良を最優先で進めて欲しい道路」は「生活道路」という人が四割近くに上り、断然トップです。「高速道路」と答えた人は8・7%で、この傾向は大都市圏より町村のほうが強くなっています。高速道路を優先して生活道路の予算を圧迫する特定財源や中期計画は、地方のドライバーの声にも反します。

消費税とセットとは

 基本方針が、道路特定財源は「今年の税制抜本改革時」に廃止するとして、財界と政府・与党が狙う消費税増税とセットにしていることは見過ごせません。冬柴国交相は以前、税制改革がなされない場合は、一般財源化もやらないと「読むのが正確」だと解説しています。道路財源を突破口に消費税増税をもくろむと同時に、消費税増税ができなければ一般財源化も棚上げするという二重の国民だましが仕掛けられています。

 「何より高速道路」というコンクリートで固まったような福田内閣・自民党・公明党とのたたかいは、これからが本番です。



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