2008年5月13日(火)「しんぶん赤旗」
外食加盟9社が提訴
フランチャイズ展開 まいどおおきに食堂
被害計6億円余
赤字「必然」なのに「素人でも」と勧誘
過大な収益見込みで外食店経営を勧誘され、十分な支援や指導を受けることができずに閉店に追いこまれるなど約六億四千四百万円の被害をうけたとして、「まいどおおきに食堂」の元、現加盟店オーナー九社が十二日、フランチャイズ本部などを相手に、損害賠償を求めて提訴しました。請求金額は約三億二千二百万円。
訴状によると、「まいどおおきに食堂」のフランチャイズ事業を展開するフジオフードシステム(本社、大阪市)と、同社と提携して加盟店勧誘・指導を担当した業界最大手ベンチャー・リンク(本社、東京都台東区)らは、経営指導のための体制を整えないまま、加盟店を拡大し原告らを勧誘。「素人でも大丈夫」などの言葉で、フランチャイズシステムの内容が実際よりも優良であると誤認させ、開店後は十分な指導を行いませんでした。
原告九社はいずれも一店舗につき加盟金八百四十万円を負担。開店した八社の被害は、開設費用や営業損失などをあわせると約三千万―二億三千万円といずれも高額です。開店までこぎつけなかった一社も被害は約一千万円。
千葉県八千代市の企業の場合、ベンチャー・リンクが「売り上げに対する営業利益は少なくとも10%は出る」などと勧誘。ところが人件費と仕入れ原価が売り上げに占める割合は50%台のはずが実際には80%を超え、光熱費等を払うと赤字になったといいます。
会見で、約二億三千万円の被害を受けた兵庫県姫路市の酒屋の経営者(46)は「(経営不調で)つぶれたところはないかと何度も聞いたが、『大丈夫ですよ』『チャンスですよ』という返事だった。三店舗を出し、いくら一生懸命やっても赤字で、従業員を土下座して解雇した。酒屋も続けられなくなった」と涙を流しました。
弁護団長の近藤忠孝弁護士は「必然的に赤字になる仕組みで被害額も大きい。誇張した数字で勧誘しながら、一方で赤字を見越してクレームを言わないように書面で約束させている。まさに犯罪的行為だ」と述べました。
まいどおおきに食堂 フジオフードシステムが展開する外食店。直営店とフランチャイズ店があり、全国約五百九十店のうち約四百三十店がフランチャイズです。加盟店は加盟金、保証金などを負担して参加し、開店後は売り上げの6%をロイヤルティーとして本部(フジオフードシステム)とエリア本部に支払う仕組み。各店舗の名前は、それぞれの営業地名を冠して「○○食堂」などとしています。