2008年5月12日(月)「しんぶん赤旗」
ミャンマー国連支援
100万人に届かず
【ハノイ=井上歩】ミャンマーのサイクロン被害で、国連人道問題調整事務所(OCHA)は十日、少なくとも百万人の被災者に国連の支援が行き届いていないと明らかにしました。
OCHAスポークスマンは、アジア太平洋地域事務所があるバンコクで「深刻な被害を受けた被災者を百五十万―二百万人と推定しているが、現時点でわれわれはその四分の一(五十万人)にしか物資を届けられていない」と話し、「遅すぎる」と指摘しました。被災からは一週間が過ぎています。
救援にあたっている非政府組織(NGO)は、被災者に飢えや衰弱、下痢などの症状が広がっていると指摘。ロイター通信によると、NGO国際救援委員会の担当者は「被害がもっとも大きい地域への大量で迅速な支援がなければ、想像できない規模の惨事となる」と警告しています。
支援がある地域でも物資が不足しており、同通信によると、被害の大きかったイラワジ川デルタ地帯の南西の町ラブッタでは一家族に一日コップ一杯のコメしか配給されていません。ヤンゴンの西約百キロの町ミャウンミャの救援センターでも、女性と子どもに配る分しか食料がなく、男性は何も食べていないといいます。
世界食糧計画(WFP)は、十日に空輸された食料などの救援物資は軍政が荷下ろしを認めたものの、九日搬送分はまだ差し止められているとしています。
軍政は被災地の一部を除き十日に予定通り新憲法案の国民投票を実施しました。