2008年5月11日(日)「しんぶん赤旗」
CO2データ 政府非公開
大半が製鉄
JFE・新日鉄・神鋼・住金…
10事業所で全体の12%
気候ネット調査
国内の温室効果ガスの大規模排出事業所のうち、甘利明経済産業相が非公開にしていた36事業所の排出データが環境市民団体の気候ネットワーク(浅岡美恵代表)の調査でわかりました。36事業所の大半は製鉄企業で、そのうち10事業所が排出量の多い上位20に入り、日本全体の排出量の12%を占めていました。
気候ネットワークによると、国内最大排出量の中部電力碧南火力発電所(石炭)が一位ですが、石炭を大量に使用する鉄鋼部門のJFEスチールや新日本製鉄、神戸製鋼、住友金属工業の非公開七事業所が二位から八位の上位を占めました。(表)
気候ネットワークは、省エネ法の報告制度を活用して二〇〇五年度までの大規模排出事業所からのCO2排出量を分析。日本の排出が電力・鉄鋼などに集中していることをあきらかにしてきました。
環境省と経済産業省は二〇〇六年度の国内事業所からの排出実態を地球温暖化対策推進法にもとづき、三月に初めて発表。その際、極度の排出集中を示す重要なデータが非公開にされていたため、同ネットワークが独自に調査しました。
同ネットワークによると、各自治体の条例で公表されたデータなどで計十一事業所の排出量を逆算できることがわかりました。残る二十五事業所も経産省の外郭団体が実施している「省エネ大賞」などの公表データなどから推計が可能でした。
気候ネットワークは「CO2排出量を非公開とする判断に合理性はなく、甘利経産相が非公開としたのは、CO2排出削減を日本経団連の自主行動計画まかせにしたのと同様に、報告を事業所の意思に委ねる姿勢のあらわれというほかない」と批判。公開原則にもとづく新たな公表制度にあらためることを求めています。
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