2008年5月6日(火)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療制度1カ月
27都府県医師会が異議
本紙調査 急速に批判広がる
七十五歳以上の高齢者の医療を差別する「後期高齢者医療制度」や、同制度の診療報酬「後期高齢者診療料」の算定について、全都道府県医師会の半数を超える二十七医師会が「反対」「慎重な対応」など批判的な態度を表明していることが本紙の調査で五日、分かりました。四月十九日時点では二十府県医師会でした。地方の医師会のなかで、同制度への批判が急速に広がっていることを示しています。
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島根県医師会は四月十九日の常任理事会で、同制度に反対する「見解」を決定。その中で、ポスターを作成し、同制度の廃止・撤廃を求めていくとしています。
同県医師会の田代收会長は反対理由について、「この制度で新設された診療報酬の一つ、後期高齢者診療料は、医療費抑制を意図していることは明らかだ。高齢者の医療を差別することになる」と話しています。
高知県医師会は四月二十四日の理事会で、同制度に反対することを決め、二十八日付で制度の撤回を求めることなどを明記した「反対声明」を発表。五月十七、十八日に開催される中国四国医師会連合総会で、反対決議を行うなどの取り組みをしていくとしています。
東京、千葉など十都県の医師会でつくる関東甲信越医師会連合会は四月十五日の常任理事会で、日本医師会や厚生労働相あての「後期高齢者医療制度に関する要望書」を決議。後期高齢者診療料の廃止、低所得者の保険料軽減を求めました。
この「要望書」について、千葉県医師会は四月十七日の理事会で、同意することを決定し、二十八日付の通知で、会員の医師に周知しました。
東京都医師会は「都医師会独自の決定ではないが、会長が連合会の常任理事会に出席し了承している。都医師会として同意している」(総務課)とのべました。
「反対」「慎重」を表明した都府県医師会
宮城、山形、茨城、栃木、埼玉、千葉、(東京)、神奈川、(新潟)、(山梨)、(長野)、愛知、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、高知、佐賀、長崎、大分、宮崎
※カッコ内の都県は関東甲信越医師会連合会の決議を通して態度表明しているところ
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