2008年5月5日(月)「しんぶん赤旗」
バターがない
品薄深刻 背景に酪農失政
家庭用バターの品薄を知らせるスーパーの掲示が続いています。「家庭でケーキを作ろうと思ってバターを買いに行ったが棚になかった。どうなっているの」と不満が広がっています。
農水省は、こうした声に押されて家庭用バター二百三十トンの増産を大手乳業メーカーに要請。「品不足解消に向けメーカー側は生乳の都合をつけてバターを作る」(同省牛乳乳製品課の担当者)と言います。
バター不足の背景には、国内生乳の生産不足があります。ケーキに使う無塩バターや家庭用バターは、牛から搾ったままの生乳を使います。しかし国内の生乳生産は、目標どおりできていません。配合飼料の高騰で生産増は厳しく、農家が廃業した分をカバーできていません。政府の酪農・畜産業振興策の不十分さが背景にあります。
さらに、今回は▽チーズ工場が北海道で稼働を始め、生乳が優先供給された▽乳製品の海外市場がひっ迫し、輸入自由化となっているバター・ココア「調製品」も減少▽外国産に比べ割安の国産バターが業務用で取り合いとなった―などの要因が重なりました。
無塩バター不足は、昨年十二月のクリスマスケーキ製造シーズンには中小洋菓子店で問題となりました。今回は家庭用バターにしわ寄せがされた形です。現状では再発する恐れがあります。酪農家は安定した生産対策が必要だと訴えています。