2008年5月5日(月)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療
差別制度 すぐ廃止を
NHK討論で小池政策委員長
必要な治療制限の危険
七十五歳という年齢で差別する後期高齢者医療制度が大問題となる中、四日のNHK番組「日曜討論」で与野党の代表が討論しました。日本共産党の小池晃政策委員長は高齢者の医療費削減が制度の目的にあることを明らかにし、「中途半端な見直しでは解決しない。廃止すべきだ」と主張しました。
与党側は「将来の医療を考えると必要不可欠の制度だ」(公明党の福島豊衆院議員)、「“うば捨て山”保険という言い方は慎むべきだ」(自民党の大村秀章衆院議員)などと述べ、国民の批判に対して制度運用の「見直し」でごまかす発言をしました。
小池氏は、「高齢者を差別する制度の考え方そのものが間違っている」と指摘。保険料は下がるどころか高齢者の人口比率増などで自動的に上がることを示し、「保険料が上がっていく制度をつくりながら『下がる』というのはとんでもない宣伝だ」と批判しました。
また同制度で受ける医療内容について与党は「かかりつけ医制度などで選択の幅を広げた」(自民・大村氏)と評価。小池氏は、「高齢者はいろいろな病気を持っているのに、一人の主要な病気は一つだとして、七十五歳以上の方だけは担当医を一人に限定してしまう。しかも定額制が導入され、必要な検査や治療が受けられなくなる」と反論しました。
さらに、入院の場合は「退院支援計画」をつくった病院に診療報酬を上乗せしたり、終末期医療の場合は「在宅死」を推進するなど病院からの追い出しを推進する仕かけになっていることをあげ、「医療の中身は変わらないどころか、大変な差別医療が始まっている」と強調。公明党の福島氏の「医療費削減のためではない」という主張に対し、「法律上の『国の責務』は『国民の高齢期における医療に要する費用の適正化を図る』となっている。高齢者の医療を安上がりに削ることが目的であることは明白だ」と指摘しました。
小池氏は、「制度を廃止しても当面の国庫負担は変わらない」と重ねて廃止を主張。「財政を口実に高齢者の医療を削るのは根本的に間違っている。財源というのであれば、大企業や高額所得者への巨額な減税を見直すべきだ」と述べました。
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