2008年5月4日(日)「しんぶん赤旗」

山手線ホームにさく

在来線初 可動式を10年で

視覚障害者らの長年の運動実る

JR東日本


 JR東日本が東京都内を走る環状線、山手線二十九のすべての駅ホームに、「可動式ホームさく」を約十年計画で設置することが明らかになり、歓迎の声が広がっています。同さくは、視覚障害者などが駅ホームから線路へ転落することを防ぐための施設です。

 国土交通省によると、同さくの設置はJR各社の在来線では初めて(新幹線では一部導入)。設置されている鉄道会社の駅は〇八年三月末現在、全国で四百二駅(高さが天井まであるホームドアも含む)。設置率は全国約九千五百の駅に対して約4%です。

 JR東日本は、まず山手線の二、三の駅に試行的に設置し、その後、同線全駅に導入していく予定。設置の理由について「毎年、各団体から設置の要望がありました。こうした要望を含め、社会的期待が高まってきたことや、山手線の駅ホームで人身事故が多発していることなどを検討した結果です」(同社広報部)と説明します。この方針は、同社の経営計画「グループ経営ビジョン2020」(三月末決定)にも盛り込まれました。

 同さくの設置は、東京視覚障害者協会(東視協)や全日本視覚障害者協議会(全視協)が毎年、二月一日の「鉄道死傷事故ゼロの日」などに、JRに働きかけてきました。この日は、全盲の上野孝司さん(42)=当時=が一九七三年二月一日、山手線の高田馬場駅で転落し命を落とした日にちなんだものです。

 全視協の総務局長で視覚障害者の山城完治さん(51)はいいます。

 「このさくの設置は、私たちが団体としては唯一、十数年前から求めてきたものです。設置は歴史の流れと思っていましたが、ついに実現に動きだし、とてもうれしい。しかし、このさくは視覚障害者の命と安全を守るためのものであり、急がれます。運動を強め、十年計画をさらに短くしていきたい」


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