2008年4月30日(水)「しんぶん赤旗」
世界の労働者2008
米国
医療保険下げに反対
自動車部品メーカー スト2カ月に
米自動車最大手のゼネラル・モーターズ(GM)の下請け部品メーカーの労働者が、賃金、年金、医療保険などの切り下げに反対して、二月二十六日にストライキに入ってから約二カ月が経過しました。アメリカン・アクスル・アンド・マニュファクチャリング(AAM)のミシガン、ニューヨーク両州五工場の全米自動車労組(UAW)の組合員たちです。
発端は、会社側が「競争力強化」を理由に、賃金と諸手当を含む一時間あたりの人件費七十三ドル(七千六百円)を、約三分の一の二十七ドル(二千八百円)に削減すると提案してきたことでした。
これに対し、労働組合側は強く反発。会社側との交渉は断続的に続けられてきました。
このストライキの背景にあるのは、自動車関連労働者の年金や医療保険給付を削減しようとする動きです。
GMでも昨年九月、退職者向け医療費での会社側負担をめぐって、UAW側との交渉が決裂。労組側は九年ぶりにストライキに突入しました。この問題では、会社の医療費負担を労組の運営する基金に移管し、この基金に会社側が二百九十九億ドル(約三兆一千億円)を拠出することで合意をみています。
いまストライキをたたかっている五つの工場は、もともとGMの一部門でした。それが一九九四年に切り離されて別会社に。それ以後もUAWの支部は労働協約改定の際、賃金や諸手当の水準を維持するよう求めてたたかい続けてきました。
それが今年の改定では、会社側が「同業他社と比べて高い」と削減攻撃。労働者側は「会社側の賃金、諸手当削減に対する正義と公正さをかけたたたかい」として位置づけ、粘り強い交渉を続けています。(ワシントン=西村央)