2008年4月29日(火)「しんぶん赤旗」
大増税の暫定税率復活へ
政府・与党なぜ走る
ガソリン税の暫定税率を復活させる租税特別措置法改定案を三十日に衆院で再議決する方針を二十八日に正式決定した政府・与党。暫定税率復活は国民に新たな大増税を押し付けるものです。衆院山口2区補欠選挙(二十七日)の敗北の逆風を抱えながらも、なぜ突っ走るのか――。
「すでに衆院を通ってしまっているのだから仕方ない」。自民党の伊吹文明幹事長は二十八日の民放番組で道路問題について開き直りました。
政府・与党は、二〇〇九年度からの道路特定財源の一般財源化を決定しました。一方で、租税特措法改定案と道路特定財源を今後十年間も続ける道路整備財源特例法改定案を再議決するのは矛盾します。同じ民放番組で、この点を指摘されたことに伊吹氏は、両法案が衆院で通過している以上、仮に法案を「修正」すれば「再度衆院で審議しなければならず、(成立まで)時間がかかる」と言い訳をしました。矛盾を承知のうえで、党利党略を優先しようというのです。
政府・与党が両法案の再議決を急ぐのは、表向き「地方財政の混乱回避」(福田首相)です。しかし、根本には「後期高齢者医療制度への反発はものすごい。これ以上道路問題でもめていられない」(自民党政調関係者)という政権をゆさぶる問題があるからです。
自民党内では、若手・中堅議員が、再議決に対する「造反」をちらつかせながら、〇九年度からの一般財源化の担保として、党総務会の決定や閣議決定を要求しています。二十八日に臨時に総務会や与党党首会談を開いたのも、与党内政局を回避するためでした。
衆院山口2区補選での与党候補の敗北について伊吹幹事長は二十八日の役員会で「選挙結果と道路の話は別。国と地方で歳入不足が生じるので与党として責任をもって対応しなければならない」と一致結束を強調しました。
しかし、「選挙の顔として福田首相は不適格という烙印(らくいん)を押されたに等しい」(自民党中堅議員)、「七月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)後はどうなるか分からない」(閣僚経験者)と、“ポスト福田”を求める声も出始めました。
逆風にさらされる政府・与党ですが、「(暫定税率復活は)国民の理解が得られる」「(後期高齢者医療制度は)仕組みそのものは何らおかしい点はない」(町村信孝官房長官、二十八日の記者会見)とまったく反省はみられません。
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