2008年4月26日(土)「しんぶん赤旗」
「思いやり」参院否決
衆院優先で承認
在日米軍への「思いやり予算」に関する日米特別協定を三年間延長する新協定が二十五日、参院本会議で採決され、日本共産党、民主党、社民党などの反対多数で否決されました。
同特別協定は衆院で承認されており、両院の議決が異なったため両院協議会が開かれましたが、意見が一致せず、憲法上の規定により、衆院の議決が優先され、承認されました。条約承認をめぐり両院協議会が開かれたのは、現憲法下で初めてです。
両院協議会に参院側の委員として出席した日本共産党の井上哲士議員は、今回の否決を重く受け止め、民意に沿って不承認とするよう求めました。
「思いやり予算」は、二〇〇八年度予算で二千八十三億円を計上。〇七年度比で九十億円削減しただけです。特別協定は八七年に初めて締結され、今回で五回目の延長。同協定分は〇八年度予算で千四百十六億円です。
在日米軍の特権を定めた地位協定は、駐留経費について米側の負担を定めており、この規定にも反する支出です。
参院本会議での討論で、協定に賛成した自民党の浅野勝人議員も「野放図な財政支出は許されない。九十億円軽減したといっても満足できない」と述べざるをえませんでした。民主党の白眞勲議員は、支出実態などの検証が不十分だとしつつ、「民主党の安全保障政策の基軸は安保条約だ」と強調しました。
現行の特別協定は、三月末で期限切れとなり、失効。「思いやり予算」に関する特別協定に空白期間が生じる初めての事態になっていました。
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