2008年4月25日(金)「しんぶん赤旗」
文科省
「愛国心」教育前倒し
新学習指導要領 来年度から移行案
文部科学省は二十四日、小中学校の新学習指導要領の一部を来年度から先行実施するための移行措置案を公表しました。「我が国と郷土を愛」する日本人の育成などを目指す「道徳教育」を教育活動全体の「要(かなめ)」と位置付けた「総則」を前倒しで適用するとしています。算数・数学と理科の内容を増やし、小学校では総授業時間数を週一時間増やします。
小学校授業、週1時間増
新指導要領は小学校は二〇一一年度から、中学校は一二年度から施行されます。移行措置はそれ以前に特例として実施する内容を示すものです。
移行措置案は、新指導要領のうち「総則」「道徳」などの項目を〇九年度から直ちに適用するとしています。
「総則」は、改悪された教育基本法の「目標」(「愛国心」など国が定めた「徳目」)を「達成するよう教育を行う」と明記。道徳教育の目的として「我が国と郷土を愛」する「日本人を育成」することを掲げ、「道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行う」としています。各学校で「道徳教育推進教師」を配置します。
算数・数学と理科については教育内容の大部分を来年度から前倒しし、授業時間も増やします。小学校低学年は体育の時間も増加。小学三年は算数と理科の合計で年間四十五時間増になります。
小学校では各学年とも現行より週一時間増。中学校では選択教科などを減らして対応します。
先行実施する内容については補助教材を国の責任で作成するとしています。授業時間増に伴う教員増はありません。
ほかの教科についても、学校の判断で新指導要領の内容を先取りすることを可能にしました。小学校社会の「四十七都道府県の名称と位置」の指導などは、すべての学校で先行実施。新たに導入される小学校の外国語活動も各学校の裁量で実施できることにしました。
文科省は一カ月間の意見募集をへて、五月末か六月上旬に移行措置を公示する方針です。
学習指導要領 文部科学省が学校で教える内容、授業時間を学年別に示した基準で、ほぼ十年ごとに改定しています。今年三月に告示した新要領では、小中学校とも算数(数学)、理科、国語など主要教科の指導内容と時間を拡大。小五、六年では外国語活動を必修としました。全面実施されると、総授業時間が小一、二年で週二時間、小三から中三は週一時間増えます。
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