2008年4月24日(木)「しんぶん赤旗」
米国産牛肉
危険部位が混入
吉野家購入 ずさん検査裏付け
農林水産、厚生労働両省は二十三日、牛丼大手「吉野家」の冷凍倉庫内で、昨年八月に輸入した冷凍の米国産牛肉(ばら肉)七百箱(約十七トン)のうち一箱に、BSE(牛海綿状脳症)の原因物質が含まれるとされる危険部位の脊柱(せきちゅう)が見つかったと発表しました。輸入条件違反の脊柱の混入は二〇〇三年十二月以来二度目。二○○六年に米産牛肉の輸入を再開して以来初めてです。
米政府の検査体制のずさんさを裏付けるとともに、輸入再開を強行した政府の責任が問われます。
危険部位が混入していたのは牛肉「ショートロイン」(腰部の肉)。消費者が米国産牛肉を口にする流通段階で、危険部位が見つかったのも初めてです。
両省によると、危険部位が混入した冷凍牛肉は、大手商社の伊藤忠が米カリフォルニア州のナショナルビーフ社カリフォルニア工場から輸入し、吉野家に納入したものです。同工場は日本が輸入する牛肉の約二割を供給する最大の出荷元です。
米農務省が発行する証明書がついていましたが、証明書には脊柱を含む「ショートロイン」の記載はなく、月齢も不明。ずさんな検査体制のままで日本に出荷されていたことになります。
農水、厚労両省は昨年四月、安倍晋三首相(当時)の訪米前に、輸入検査体制を大幅緩和し、米国産牛肉の全箱検査から抜き取り検査にする「日米合意」を結びました。この結果、昨年八月の輸入時検査で危険部位混入が見逃されていました。
両省は同工場からの輸入停止と、米農務省に調査の実施を要請。しかし、輸入時の抜き取り検査率をあげ、国内流通段階のメーカーの自主検査の徹底を指導しただけで、全面停止の措置はとっていません。
輸入中止を
日本共産党の紙智子参院議員の話 BSE危険部位の脊柱が、輸入検査で見逃されて国内に流通していたこと自体が大問題です。輸入時のチェック体制のないことが明らかになりました。食の安全、安心よりも米国いいなりに国内のチェック体制を後退させてきた自民・公明政府の責任は重大です。米国産牛肉の輸入はただちに中止すべきです。