2008年4月21日(月)「しんぶん赤旗」

主張

ODA5位転落

貧困救済を最優先する政策を


 二〇〇〇年まで世界で一位を占めていた日本のODA(政府開発援助)予算は、二〇〇七年ついに五位に転落しました。

 二〇〇〇年をピークに、〇一年以降二位、〇六年にはすでに三位に落ち込んでいました。国際社会が貧困・飢餓の救済のためにODAを増やしているのに、日本政府は二〇〇〇年以降ODA予算を削りに削ってきたからです。日本政府が主導する五月のアフリカ援助国会合、七月の洞爺湖サミットを前にして、日本のODA総額縮減に国際社会からの風当たりがつよくなるのは、避けられそうもありません。

軍事偏重の一方で

 二〇〇〇年を基準にすると、ドイツ119%、フランス117%、アメリカ113%、イギリスは96%、それぞれ増やしています。その結果、〇七年の順位は、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスと続き、日本は五位となりました。

 ODAとは貧困・飢餓から発展途上国の国民を救済し、経済自立の方向に導くためのものです。二〇〇〇年の国連ミレニアム・サミットが、極度の貧困・飢餓の撲滅をめざし、二〇一五年までに一日一ドル未満で暮らす人々の数を半減させることを約束したのはそのためです。

 世界銀行と国際通貨基金によれば、一日一ドル未満で生活する極端な貧困層はいまなお、十億人です。依然深刻とはいえ、二〇〇〇年に比べて、二億人減っています。これは国連ミレニアム・サミットでの約束にもとづいて、ODA援助国二十二カ国の多くがODA予算の増額に取り組んできた結果です。

 ところが、日本は、国連サミットの翌年から毎年ODA予算を削り、二〇〇〇年から七年間の削減率は、42%にもなりました。一兆三千五百億円だったODA予算(実績)はほぼ半減し、約七千八百億円になっています。

 これでは国連での約束をはたすことにはなりません。国際社会から、国連で約束した貧困・飢餓救済の課題に背を向けていると批判されても仕方がありません。現に、OECD(経済協力開発機構)の事務総長は「日本の削減傾向に懸念をもっている」とのべています。

 政府は、財政困難を理由にしてODA予算を削減してきました。しかしそれはいいわけでしかありません。ODAが経済力のある国の国際的責任だという立場を放棄したのが実際です。

 しかも五兆円近い軍事費は七年間で2・8%という低い削減率です。日本は戦争を放棄し、戦力の保持も禁止しています。海外で戦争する態勢づくりのための予算は憲法上許されるはずのないものです。大幅に削るべきは軍事費であって、ODA予算ではありません。

 軍事的手段ではなく、非軍事的・平和的手段で世界の平和と進歩に貢献する、これが憲法の要請です。憲法をないがしろにし、ODA予算を切り縮める路線を政府はあらためるべきです。憲法を守り、ODAを強化することが国際社会の要請と一致していることはあきらかです。

人道援助に力注げ

 日本のODAは、アメリカの世界政策や日本大企業の利益奉仕が優先で、人道援助は貧弱など中身の面でも問題があります。ダム建設などのための円借款ではなく、食糧援助や教育などの無償援助をつよめることも大切です。

 人道援助を思い切って重視し、貧困・飢餓救済を基本にすえたODA政策に切り替えることが必要です。


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