2008年4月16日(水)「しんぶん赤旗」

アラブ6カ国世論調査

「イラク撤退望む」61%

米軍駐留なくても混乱せず

「米国好きでない」8割に


 【ワシントン=鎌塚由美】先月実施のアラブ人を対象とした世論調査によると、イラクからの米軍撤退を望む人が61%になったことが十四日明らかになりました。「イラクから米軍が撤退すれば、イラクの人々は互いの違いを埋める道を見つけ出せると確信する」と答えた人の割合です。米メリーランド大学とゾグビー・インターナショナルによる調査結果をロイター通信が伝えました。この回答は前年の44%から17ポイント増加しています。

 米軍が撤退すれば宗派対立などイラクが混乱するという米軍駐留合理化論が、アラブの人たちにはますます通用しないことが明白となりました。

 また、イラクでの米軍増派作戦がうまくいっていると見ている人は、6%しかいませんでした。

 調査は、サウジアラビア、エジプト、モロッコ、ヨルダン、レバノン、アラブ首長国連邦の六カ国の四千人が対象。このなかで、83%が米国について「好意的でない」とし、70%が「信頼していない」と回答しました。

 調査したメリーランド大学のシブリー・テルハミ教授は、ロイター通信に対し「米軍がイラクから撤退することがより好ましいと考える人々の数のなかに、米国に対する不信がある」と指摘しました。

 米軍による増派作戦で武力衝突が減少したという報道については、三人に一人が疑念を抱いています。59%が、イラクの不安定な状態が続き、それが周辺諸国に拡大することが最大の懸念だと表明。前年調査は42%でした。

 二〇〇三年のイラク侵攻前後を比べるイラクの暮らし向きについての設問では、侵攻前の方が良かったと回答したのは80%に上りました。



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