2008年4月15日(火)「しんぶん赤旗」
パラグアイ大統領選
左派候補支持広げる
排除の政治批判 貧困克服が争点
【メキシコ市=島田峰隆】南米パラグアイの大統領選挙は二十日が投票日です。ラテンアメリカ諸国の多くが新自由主義からの脱却を目指して対米自立を強めるなか、パラグアイ国民がどういう選択をするのか注目されます。
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選挙戦は、元司祭で左派のフェルナンド・ルゴ氏、ドゥアルテ大統領の後継者で与党コロラド党のブランカ・オベラル氏、元陸軍司令官のリノ・オビエド氏の有力三氏の争いとなっています。
八日の各種世論調査では、ルゴ氏は最大で10ポイント差をつけて一位。ただ二位との差が1ポイント以内という調査もあり、予断を許しません。
二〇〇三年八月に就任したドゥアルテ大統領は当時、それまでの政権による新自由主義路線を批判。しかしその後ははっきりとは反対の姿勢をとっていません。政府統計によると、貧困率は〇三年から〇七年にかけて約6ポイント減ったものの、依然として35%という高さです。
ルゴ氏は、最も貧しいサンペドロ県の司祭として貧困撲滅のために活動してきたことで、貧困層が強い期待を寄せています。同氏を支えるのは、約十の政党と社会団体や労働組合などでつくる「変化のための愛国同盟」です。
同氏は三月のアルゼンチン訪問の際、「まもなくパラグアイは、希望ある時代を迎えている南米大陸の異なる孤島ではなくなる。われわれは喜んで、ラテンアメリカのすべての進歩的政府に加わる」と語りました。
論戦では「排除の政治に未来はない」と現政権を批判。一部の国民を優遇する経済政策を改め、「新しい発展モデル」をつくると主張しています。大土地所有制の見直しを柱とする農地改革を提案するなど、他候補にはない公約を掲げています。
ルゴ氏優勢が続く中、他候補も、貧困克服への姿勢を示さざるをえなくなっています。
今回、コロラド党は候補者決定をめぐって混乱し、六十年以上にわたる同党支配が崩れる可能性が大きくなっています。それだけにルゴ氏への攻撃も強まっています。
特にオビエド陣営は、ベネズエラ、ボリビア両大統領とルゴ氏の写真を並べ、「紛争、経済危機、資本流出」などと中傷するポスターを張り出しています。ルゴ氏支持者が襲撃される事件も発生しました。ルゴ陣営は十日、暴力に反対して首都アスンシオン市内をデモ行進しました。