2008年4月12日(土)「しんぶん赤旗」

ドイツの携帯工場閉鎖問題

労働者、ノキアに勝つ

当初提示の3倍補償金 2300人に320億円


 世界最大の携帯電話会社ノキアがドイツ北西部のボッフム工場を閉鎖しルーマニアに工場を移転しようとしている問題で、労使は八日、現在働いている二千三百人の正規労働者に計二億ユーロ(約三百二十億円)を支払うことで基本合意しました。当初、ノキアが示していた額の約三倍。一人当たり八万六千ユーロ(約千四百万円)の支払いとなります。

 ノキアは一月に突然、移転を発表しました。ボッフム工場は黒字で、全体経費中での人件費の比率が低いにもかかわらず、移転先のルーマニアが「ドイツの賃金の十分の一」だというのが理由でした。

 ノキアの計画では、工場閉鎖で正規労働者のほか、派遣労働者、下請け労働者計二千人も失職します。

 デュッセルドルフからの報道によると、ノキア、ボッフム工場労働者代表でつくる同工場事業所評議会、金属産業労組(IGメタル)の三者が合意しました。ノキアは六月三十日までに工場を閉鎖しますが、正規労働者は、再雇用のための職業訓練や補償を受ける社会計画を持つ解雇となります。

 具体的には扶養家族や障害者かどうかなどを加算した解雇一時金が支払われるほか、再雇用のための職業訓練をする移行会社で最大限十二カ月まで継続雇用されることができます。移行会社はノキアとドイツ政府の出資でつくられます。

 工場閉鎖反対の運動は、労働者ばかりでなく、自治体を巻き込んで繰り広げられました。ノキアはドイツ政府やボッフムのあるノルトラインウェストファーレン州から計四千百万ユーロ(約六十五億円)にも上る補助金を受けていました。州政府は補助金返還を要求。ボッフム市では、ドイツ各地の労働者数万人が参加する抗議集会が開かれました。

 今回の合意について同工場事業所評議会のアッシェンバッハ氏は、「ベストの合意を勝ちとった」と語りました。

 ノルトラインウェストファーレン州首相のリュトガース氏は、「最初の重要な一歩」と評価。同州の報道官は、補助金返還を引き続き求めていくかどうかは、正規でない労働者の救済を含め、今後の交渉にかかっているとしました。


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