2008年4月12日(土)「しんぶん赤旗」
温室ガス排出
100事業所で4割
気候ネット調べ 電力会社が3割
日本国内で二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの総排出量の四割は、電力など排出量上位百事業所で占めていることが十一日、分かりました。環境市民団体の気候ネットワーク(浅岡美恵代表)が同日、記者会見で明らかにしたもので、同ネットワークは政府に大規模事業所を対象とした排出削減の新たな対策を求めました。
同ネットワークは環境省と経済産業省が三月下旬に公表した二〇〇六年度の事業所ごとの排出実態をもとに分析しました。
両省は、〇六年度の国内約九千社の温室効果ガス排出量が、日本全体の総排出量の約五割に相当すると発表しました。気候ネットワークによると、この排出量の集計は「電力配分後の間接排出量」という発電所が直接排出したCO2を、電力を消費した事業所に振り分けたうえで集計したものです。
ところが、発電所など発生源である事業所から出た直接排出量でみると、報告のあった事業所全体では日本全体のCO2排出量の67%を占めています。排出量一位の石炭火力発電所「中部電力碧南火力発電所」だけで、下位七千事業所の総排出量にほぼ等しいことがわかりました。
また、上位二百二十事業所で、日本全体の排出量の五割を占め、上位八社だけでも一割に達し、電力会社で三割近くを占めていることも判明しました。
気候ネットワークは「電力業界の排出(直接排出)が圧倒的に大きく、さらに鉄鋼業、化学工業の排出量がきわめて大きいことも明らかになった」と指摘。CO2排出にコスト負担を求める「国内排出量取引の制度設計に有益な情報になる」としています。
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