2008年4月10日(木)「しんぶん赤旗」
主要政党、共和制で一致
制憲議会選 きょう投票
ネパール
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【ニューデリー=豊田栄光】ネパールでは十日に制憲議会選挙の投票が行われます。今回の選挙は、二〇〇二年に政党内閣を解散させ直接統治に乗り出したギャネンドラ国王に迫り国民に主権を返還させた〇六年の民主化運動の成果で、国政選挙は一九九九年の総選挙以来です。
選挙戦は、〇六年に発足した暫定政権のコイララ首相が党首を務めるネパール会議派(NC)とネパール共産党(統一マルクス・レーニン主義=UML)、元反政府武装勢力・毛沢東派の三政党が中心の展開です。
三政党は新憲法で王制を廃止して共和制にすることを公約。NCとネパール共産党(UML)は首相が実権を握る象徴大統領制を掲げ、毛派は直接投票で選ばれる大統領制を主張しています。
昨年十二月、現在の暫定議会(〇六年発足、三政党が議席の九割)は、制憲議会招集日に「共和国宣言」を発効させる決議を採択。王制維持派も候補者を立てていますが多数派となる見込みは薄く、約二百四十年間つづいた王制は、選挙後に廃止される見通しです。
三政党の中でNCは、王制存続を支持する幹部の離党が相次ぎ、もっとも苦戦しています。
第一党が有望視されるネパール共産党(UML)のネパール書記長は「選挙後の方が大変だ。憲法起草作業では、大統領の地位と、多民族国家としての地方自治が最も難しい課題となる」と語っています。
毛派は今回初めて選挙に参加します。一九九六年に反政府武装闘争を開始した毛派は、一時は山間部を中心に国土の三割強を支配下に置いたといわれます。〇六年十一月に政府と包括和平協定を結び、国連が彼らの武器と兵力を管理下に置きました。
ネパール 北は中国、南はインドに接する内陸国で、面積は日本の本州のほぼ三分の二に相当する十四万七千平方キロ、人口は二千八百万人。一人当たりの国民総所得は二百九十ドルで世界最貧国の一つ。制憲議会選挙は、小選挙区二百四十、比例代表三百三十五の計五百七十五議席をめぐる争い。ほかに内閣任命の二十六議席があります。