2008年4月9日(水)「しんぶん赤旗」

文教施設 落札8件3.7億円

文科省汚職 贈賄容疑者入社後に

親会社「五洋」も2件


 国立大学の施設整備をめぐる汚職事件で、贈賄容疑で逮捕された倉重裕一容疑者(58)が顧問を務める建設会社「ペンタビルダーズ」が、同容疑者の入社後、それまで実績のなかった文教施設工事を次々と受注していたことが本紙の調べでわかりました。一年四カ月の間に八件、計約三億七千万円にのぼります。


 ペンタビルダーズ(東京都新宿区、資本金五千万円)は、大手ゼネコン「五洋建設」(同文京区)の100%出資の子会社で、一九九一年三月に設立されました。同社が東京都などに提出している「工事経歴書」などによると、当初は五洋建設の下請け工事が大半で、文部科学省関連の実績はありませんでした。

 ところが、収賄容疑で逮捕された前文科省文教施設企画部長、大島寛容疑者(59)と十年来の知り合いだったという倉重容疑者が五洋建設東京支店の総務課長、総務部長などを経て、〇六年三月、ペンタビルダーズの顧問に就任してから様変わりします。

 同年四月、電気通信大学(東京都調布市)の校舎改修工事を受注したのを皮切りに、国文学研究資料館(同立川市)のアスベスト対策工事、筑波大学(茨城県つくば市)の合宿所アスベスト対策工事など、文科省関連工事を受注するようになりました。(表参照)

 倉重容疑者が大島容疑者に現金五十万円のわいろを渡したとされるのは、〇六年四月上旬のことです。

 一方、海洋土木工事が主力の五洋建設も、倉重容疑者が同社東京支店に在籍していた〇二年に、大阪大学と東北大学の研究棟新築工事計約十二億七千五百万円分を、共同企業体で受注しています。

 文教施設の整備事業では、国立大学などが文科省に予算要求し、同省が財務省と協議するなどして予算配分が決まります。予算割り当ての最終権限を持っていた大島容疑者から得た情報を、倉重容疑者が受注につなげていたとみられます。

 倉重容疑者は、旧文部省OBで、文教族だった自民党の柳川覚治参院議員(故人)の私設秘書として活動していたことも判明しています。文教施設をめぐる政官財の癒着構造にメスを入れることが求められています。

表

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