2008年4月8日(火)「しんぶん赤旗」
地上デジタル放送 移行まで3年
“テレビ難民”救え
共産党、住民と手携え改善
地上デジタル放送に完全移行する二〇一一年七月二十四日まで、あと三年余と迫りました。しかし、デジタルテレビなど受信機の普及は目標(一億台)の三割程度。へき地や都市部の共同受信施設のデジタル改修も遅れています。「このままでは、テレビを見られない人が出てしまう。テレビ難民を出してはならない」と、各地で日本共産党の活動が始まっています。(佐藤研二)
買い替え助成「検討」
山梨 市川三郷町
山梨県市川三郷(いちかわみさと)町の一瀬正・日本共産党町議は、今年に入って地デジ問題の取り組みを始めました。近隣自治体の共産党議員と勉強会を開いたり、山間地域にも電波が届くかNHKに調査を求めてきました。そのなかで「とくに、高齢者や低所得者への援助は欠かせない」と実感したといいます。
「相次いで年金が改悪されたうえに物価高が襲い、四月からは後期高齢者医療制度が始まりました。高齢化が進む町で、『とてもテレビを買い替えられない』という訴えも多く聞きます」
三月の町議会一般質問で、一瀬議員は「地デジテレビは安くても十数万円もかかります。今のままでは、政府が決めた地上デジタル政策に対応できない多くの人が『テレビ難民』になってしまいます」と訴えました。
その中で一瀬議員は、高齢者や生活困窮者のテレビの買い替えなどに町独自の助成制度を設けること、山間地域の共聴受信設備のデジタル改修への補助を要求。久保眞一町長は、「検討したい」と答えました。
ケーブル料金値下げ
東京 台東区
ビルなど高層建築物で電波障害が起きやすい都市部。東京・台東区の日本共産党区議団では、全世帯の八割を超える約七万七千世帯が加入する台東ケーブルテレビの月額料金値下げを議会で要求してきました。二月から、三千九百円(基本視聴タイプ)に加えて、二千五百円(簡易コース)が設けられました。
「昨年から何度も質問してきた成果です」と、杉山光男区議は喜びます。ケーブルテレビ加入者のうち、四万三千世帯が電波障害対策として無料でアナログ放送を視聴してきました。「ところが、地デジになると、通常の地デジ受信料金がかかってくる。負担の軽減は区民の要求でした」
また、新東京タワーの建設で電波障害が逆の方向に出るため、対応せざるをえない中小マンションも苦慮しています。
区に対して、住民がどのように地デジ対策をとっているかの実態調査や、相談窓口の開設を求めています。
「なんでも相談」新設
神戸 垂水区
神戸市の日本共産党垂水区生活相談所(今井まさこ所長)では、三月から「地デジなんでも相談」を新たに設けました。
長年地域で地デジ問題に取り組んできた清水義之さん(69)が、専門の相談スタッフになりました。「最近、地域住民から『どうしたらデジタルテレビが見られるの』などの問い合わせや疑問が寄せられるようになりました。アンテナを換えれば済むのに、よく分からないまま高額な光ファイバーの契約をさせられたケースもあります」と、開設した事情を語ります。
地デジの相談日は毎週火曜日の午前十時から午後五時まで。清水さんは「相談と合わせて、国民にこれだけ痛みを強いるデジタル化計画に、国会で反対したのは日本共産党だけだったことを大いに宣伝していきたい」と話しています。
難視聴地解消へ 国の補助上積み
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電波の届きにくい山間部で難視聴解消を目的に設置された辺地共聴施設について、今年度からデジタル改修費の国の補助が上積みされます。地方自治体や日本共産党国会議員団が強く要求してきたものです。
辺地共聴施設は全国で約二万施設(そのうちNHKが責任を持つ共聴施設は八千五百施設)、百六十万世帯が利用しています。これまで三分の一だった補助率は二分の一へ。補助の対象外だった地域住民が整備した小規模な自主共聴組合にも適用されます。
さらに、三月二十四日の衆院総務委員会で、日本共産党の塩川鉄也衆院議員がNHKに対して「NHK共聴だけでなく、自主共聴組合においても受信点調査や設備費用の負担をすべきではないか」と求めました。
福地茂雄・NHK会長は、受信点調査について「申請があればNHKが調査を実施したい」と明言。設備費用についても「検討したい」と答えました。
地デジ計画 2011年7月24日の地デジ完全移行の根拠となっているのが、01年の電波法「改正」。衆参それぞれ2日間の審議をしただけで、自民、民主、公明、自由、社民各党の賛成で強行されました。日本共産党は「一方的に11年にアナログ波を打ち切るべきでない」と主張。地デジへの移行時期については、地デジ電波のカバー率やテレビの普及率の達成を条件とするよう求めた修正案を出しています。