2008年4月8日(火)「しんぶん赤旗」

主張

名ばかり管理職

ただ働き・長時間労働なくせ


 「店長」などの肩書が付けられただけの「名ばかり管理職」が、大手の外食産業や小売りなど多くの業界に横行し、ただ働きや長時間労働が大きな社会問題になっています。労働基準法の適用除外規定を悪用し、「肩書」に誇りと責任感をもった労働者の頑張りを逆手に取ったもので、企業経営者のあくどさに怒りを感じます。

 会社だけが成長し、労働者は疲れ果てて病に倒れる例も少なくありません。こんな企業の働かせ方を許すわけにはいきません。

使い捨ては許されない

 労働基準法では、一日八時間、週四十時間という労働時間の上限を定めており、これを超えて残業させる場合や休日に働かす場合には、時間に応じて割増賃金を支払うよう企業に義務づけています。

 監督や管理する地位にある「管理監督者」については、労働時間、休憩および休日に関する規定を適用しないと定めており、時間外労働や休日勤務の割増賃金の支払い義務が免除されています。

 しかし、役職名さえあれば管理監督者と認められるわけではありません。管理監督者であるかどうかは、経営者と一体的な立場にあるか、勤務時間の自由裁量があるか、職務に見合う待遇があるか―などの基準が満たされていることが必要です。

 「名ばかり管理職」は偽装管理職ともいえるもので、管理監督者が労働時間規制から除外されていることに着目した企業経営者が、人件費を削減するために設けたものでしかありません。

 日本マクドナルドの直営店長が、管理職扱いされて残業代が出ないのは労基法違反だと訴えた東京地裁判決(一月二十八日)は、大きな注目を集めました。判決は、「職務の権限や待遇から見て店長は管理・監督者にあたらない」とし、残業代など七百五十五万円の支払いを同社に命じました。店長は、最長で月百三十七時間もの残業を強いられ、車の中で寝ることもありました。

 紳士服大手のコナカ、日本ケンタッキー・フライド・チキン、メガネマートなどの企業やガソリンスタンドでも同様の問題が起こっています。帰宅もままならず家族はバラバラ、人間を機械部品のように使い捨て、過労死を生みかねない非人間的労働は絶対にあってはなりません。

 マクドナルド裁判で明らかになった「名ばかり管理職」の違法性や反社会性は、氷山の一角です。東京地裁判決が、「名ばかり管理職」を設けている外食や小売りチェーンなどに衝撃を与えているのは当然です。

 一部とはいえ、制度の見直しを始めた企業が現れ始めています。残業代や解決金を支払ったり、「管理職」と協定を結ぶなど経営側に一定の変化も生まれています。厚生労働省も、全国の労働局にたいして、企業への適切な監督指導をおこなうよう求める通達(一日付)を出しました。労働者の勇気ある告発とたたかいとともに、違法を許さない世論を盛り上げるチャンスです。

働きがい感じる労働を

 仕事は誰かがやらなければ始まらないし、やる人がいなければ肩書だけの「管理職」に責任と残業が重くのしかかり、次第に肉体的にも精神的にも追い込まれていきます。

 働きがいを感じ、人間らしい生活ができるよう、「名ばかり管理職」は直ちにやめるべきです。

 労働者と国民のたたかいで、ただ働き、長時間労働をなくすことが重要です。



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