2008年4月7日(月)「しんぶん赤旗」
主張
「日米同盟」
絶対化論が通用しなくなった
多発する在日米軍の凶悪犯罪や米軍作戦を支える海上自衛隊イージス艦の漁船衝突・沈没事件などで、国民の怒りがつよまっています。
一連の事件は、「日米同盟」が日本国民の命と安全にとって最大の脅威であることを示しています。日米安保条約を土台にした「日米同盟」絶対化論で国民の怒りを抑えるやり方は、簡単には通用しなくなっています。「日米同盟」が平和と安全の問題でも矛盾を大きくしていることを、政府は直視すべきです。
命と安全の最大の脅威
沖縄県で二月におきた女子中学生暴行事件や横須賀市でのタクシー運転手殺害事件が示すように、「日米同盟」にもとづいて、日本に米軍基地を置いたままでは、いくら「再発防止」を繰り返しても米軍犯罪はなくなりません。
この二年間に起きた女性への暴行事件だけでも、横須賀市で女性強盗殺人事件(二〇〇六年一月)、長崎県佐世保市で女性殺人未遂事件(同年十月)、広島市で女性暴行事件(〇七年十月)、沖縄市でフィリピン女性暴行事件(〇八年二月)、女子中学生暴行事件をおこしています。一九八八年から九四年の間に、米兵の性犯罪がスペイン二十四件、イタリア十六件、イギリス十件に比べて日本で二百十六件にもなっているというのはあまりに異常です。
少女暴行事件の翌年の九六年に日米両政府が発表した「日米安保共同宣言」は、「日本の防衛のため」「日本の安全保障のよりどころ」と、「日米同盟」絶対化論をふりかざして、国民に我慢を強いました。しかし、こうしたやり方はもう通用しなくなっています。
沖縄県民がとりくんだ三月の「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」は、痛烈に米軍を批判しました。米イージス艦の水兵が横須賀市でタクシー運転手を殺害した事件では、神奈川県の松沢成文知事も、米軍基地との「共存は難しくなる」とのべています。日本国民の命と安全を守るべき政府が「日米同盟」絶対化論をふりかざして、批判をおさえこむのは本末転倒です。
海上自衛隊のイージス艦が漁船に衝突・沈没させた事件も、「日米同盟」への疑念を高めています。「日米同盟」強化路線の最先端をいくイージス艦が漁船の安全をおびやかしている実態は、「そこのけそこのけ軍艦が通る」式軍事優先主義の危険とともに、「日米同盟」そのものへの根本的な疑問をよびおこすことになるのは避けられません。
「日米同盟」強化路線のもとで日米両政府がすすめている米軍再編は、日本をアメリカの先制攻撃戦争の足場に変えるために、米軍基地周辺住民に新たな負担をおしつけるものです。海外派兵恒久法の準備も、憲法改悪をねらうのも、日本がアメリカとともに海外で戦争する国にするためのものです。
「米軍基地は必要か」「米軍は日本を守っているのか」―「日米同盟」の根本を問う声がわきあがっているのは当然です。
平和日本の道語るとき
「日米同盟」は、イラク戦争などアメリカの先制攻撃戦争に日本をまきこみ、違法な戦争を支える根源です。「日米同盟」は、アジアと世界で大勢となっている平和の流れに逆らうものでしかありません。「日米同盟」絶対化論への批判を強めることがいよいよ重要になっています。
日米軍事同盟をなくし、独立した、基地もない平和日本への道を大いに語るときです。
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