2008年4月7日(月)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療制度

「長寿喜ぶ」偽解説

厚労省が手引


 「『長寿を国民皆が喜ぶことができる仕組み』です」。七十五歳以上を対象にした後期高齢者医療制度の通称を「長寿医療制度」にすることを決めた厚生労働省が、こんな宣伝をする文書を作成しました。同制度の「十分な周知を図る」ため、地方自治体窓口で住民に応対するマニュアルです。


 この文書は四日、舛添要一厚労相が本部長を務める「長寿医療制度」実施本部の初会合で配布されました。冒頭に紹介した「国民皆が喜ぶ」という記述のほか、「長年、社会に貢献してこられた方々の医療費を国民みんなで支える」「『生活を支える医療』を提供」「75歳以上と74歳以下で受けられる医療に違いはありません」などの宣伝文句がならんでいます。

 しかし、同制度は、七十五歳以上の全員から高い保険料を徴収する一方で、高齢者に医療費がかかり過ぎるとして七十五歳以上の医療費を抑制する仕組みです。

 厚労省の社会保障審議会は昨年、同制度の導入に関連して、七十五歳以上を一律に“病気がちで、認知症が多く、いずれは死を迎える”などと定義づけました。四月から七十五歳以上だけを対象にした別建ての診療報酬体系を新設しています。

 これらの「差別医療」の実態は都合が悪いのか、今回の厚労省文書は一切触れていません。

 今度の制度では、年金からの保険料天引き(十五日に開始予定)に、国民の怒りが広がっています。厚労省文書は、「窓口でお支払いいただく等の手間をおかけしない」ためと強調する一方で、「行政の余分なコストを省く」ためなどと説明しています。

 役所のコスト削減のために年金天引きを我慢しろといわんばかりの内容です。


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